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2006年8月14日 (月)

有効な援助

Assessing_aid 「有効な援助 ファンジビリティと援助政策」(世界銀行著、小浜裕久・富田陽子訳 東洋経済新報社 3000円 原題はAssessing Aid  What Works, What Doesn't, and Why)。

もう8年前(1998年)に出された本になりますが、今世紀に入ってからの援助効果向上に関するアジェンダのほとんどがこの本で取り上げられているという点で重要な本です。

主な主張は、以下の通りです。

  • 資金援助は良い政策環境のもとで有効に作用する:資金援助は健全な経済運営をしている低所得国に集中すべきである。
  • 援助にはファンジビリティがある:援助したプロジェクトが成功したとしても、それによって浮いた資金が適切に使われない場合がある。その場合、貧困削減や経済成長は達成されない。
  • 広く貧困削減や経済成長を達成するためには、途上国の制度や政策、公共セクターの行政能力を強化することが必要。制度や政策が整っていなければ、資金を投入しても効果は出ない。
  • プロジェクト型支援は、それを通じて途上国の制度や政策、行政能力が改善される場合に意義が認められる。既に制度や政策が整っている途上国では、プロジェクト型支援はプロジェクトの管理コストがかかるのみで付加価値はなく、むしろ財政支援を行ったほうが良い。

これらの主張は今や常識になりつつありますが、それぞれ「言うは易し行うは難し」で、この主張に沿った援助を支援するための試行錯誤が続いています。

この本の良いところはこうした結論を出すにあたり、過去の世界銀行を含む失敗例や回帰分析を中心とするデータを多く取り上げていること、また、試行錯誤の指針として、これまでに成功している事例についても記述している点です。

また、終章では援助機関がすべきこととして、より選択的になること(経済運営が健全な国に資金を集中させる)、知識(何が効果的かに関するノウハウ)を重視すること、より良い政策調整を行うこと、そしてもっと自己批判的になることが重要であるとしており、日本の援助政策を考える上でも良い参考になるものと思います。

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