フォーサイトのHPに今月号の紹介として「「真のODA改革」」はこれから始まる」と題する記事が掲載されています。立ち読み用の記事なので途中までしか掲載されていないのが残念ですが、この中で以下のような記述があります(強調は引用者)。
日本は一九八〇年代末から九〇年代末まで世界のトップ・ドナーだった。九一年から九年連続で世界一の援助額を出し、九九年の百五十三億ドルは二位の米国を六十億ドルも上回った。その印象が強いせいか大半の日本人はいまも日本を世界有数の援助大国と考えているが、認識を改める時期に来ている。
〇五年のODA総額(支出ベース)こそ、米国に次ぐ二位を維持したが、緊急的なイラクへの債権放棄が計上されたからで、本来なら、ODAを増やしている英国、フランス、ドイツに抜かれ、五位だった。転落が一、二年延びたに過ぎない。国民一人当たりの負担額は十七位。各国際機関への出資・拠出金も以前は軒並み日本が首位だったが、いまは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)で四位、国連開発計画(UNDP)でも六位など、見る影もない。
外務省のODAホームページを見ると毎月のように新たに供与した援助の情報が掲載されていますが、他の国はもっとやっているというのでしょうか。
「ODA実績」という時、留意すべきは、OECDの開発援助委員会が公表するODA実績は、支出純額ベースであるということです。純額というのは、援助国から途上国に流れたお金から、途上国から援助国に戻ってきたお金を引いた額という意味です。
2005年の支出純額ベースで表した各国のODA実績は左のとおりです。フォーサイトの記事のとおり、日本は2位ですが、3位~5位のイギリス、ドイツ、フランスとの差は僅少です。
他方、単純に援助国から途上国に流れたお金だけを集計すると次のようになります(グロスディスバースベースといいます)。
これをみると、アメリカには及ばないものの、日本からの資金の流れは18億ドルを越えて3位~5位の欧州勢に大きな差をつけており、日本が援助大国であるというイメージと合致しています。
この2つの表の差が意味するところは、日本の援助の特徴として、途上国に低利・長期で資金を融資する形態での援助(いわゆる円借款)が多いことから、過去に貸し付けた資金が日本に戻ってきているために、支出純額ベースではODA実績が縮小しているということです。他の国は贈与での援助が多いために、こうしたことはあまり起きません。
日本がODAを急激に増やしたのは1980年代以降ですが、融資した資金は今後も返済され続けるでしょうから、支出純額ベースで2位の地位を維持しようとすれば、返済をさらに上回るペースで新規資金を途上国に供与する必要があります。
返済があること自体は、希少なODA資金の再利用につながるので悪い話ではないのですが(特に経済が順調な中国やインドからの返済をアフリカなどの援助に充てるような場合)、いずれにせよ、支出純額ベースでODAを増額することはかなり厄介な課題といえそうです。
なお、各国のODA実績についてはOECD開発援助委員会のHPからExcel形式でのダウンロードが可能です。
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