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2007年1月13日 (土)

毎日新聞の社説「ODAの戦略化」について

1月11日の毎日新聞に「ODAの戦略化 実施機関の一元化は好機だ」とする社説が載っていました。

グレンイーグルスサミットで行ったODA増額の公約を守ること、援助が相手国にとって適切で、経済社会の底上げと貧困削減を達成して評価を得るべき、という主張に賛同します。また、貧困削減や平和構築、地球温暖化防止などの新たな課題に対処すべきという点もそのとおりだと思います。

ただし、以下の主張はどうでしょうか。

これまでの援助を振り返れば、学校や井戸、衛生関係などの小口で地域に密着した案件に少額の資金を供与する草の根・人間の安全保障無償は成果を上げている。生活インフラなど生活改善に役立つ度合いが高いからだ。

戦略性というのであれば、今まで以上にこうした援助の比率を高めていくことが望ましい。一般会計のODA関係費が減少しているのであればなおさらである。地に足のついた小口の援助を広く展開することで、予算の減少をカバーするのである。

ここでは、ODAを戦略化するには、援助プロジェクトは1件1件の規模を小さく、また教育分野・保健衛生分野の支援を増やすことが重要とされています。

私は、ODAは、プロジェクトの大小や、対象分野で良い・悪いを論じられるものではないと思います。

OECDの開発援助委員会(DAC)では、援助を評価する際の基本となる以下の5項目を定めており、援助の良し悪しはこれらの項目にあてはめてみて評価するべきです。

効率性
 プロジェクトにおける各種資源の「投入」は、効率的に「成果」に転換されたか。別のより良い「投入」で同じ「成果」を得ることはできなかったか。手段・期間・費用などの側面からプロジェクトの適切度を検証する。
目標達成度
 プロジェクトの目標がどの程度達成されたか。達成度が不十分である場合は、将来に達成される見込みはどれくらいあるのか。
インパクト
 プロジェクトの対象地域、対象グループに対して、プロジェクトがどのような正または負の社会的、経済的、技術的効果をもたらしたか。予見可能な効果のみならず当初予見できなかった効果も含まれる。
妥当性
 プロジェクトは被援助国側の援助政策、開発政策や優先度と合致していたか、現在も合致しているか。
自立発展性
 プロジェクトの結果として生じた正の効果が、プロジェクト終了後もどれだけ持続しているか。被援助国側の実施機関の運営体制や被援助国政府の支援状況を検証する。
(外務省HPより)

開発援助のニーズは、その国により様々です。毎日新聞の社説が言うように、小口の案件を供与することでベーシックヒューマンニーズを改善することがその国の開発課題に合っている場合もあれば、基幹道路や港湾、発電所などのインフラを整備することにニーズがある国もあります。

要すれば、援助の大小・対象分野の如何にかかわらず、開発途上国の経済社会の発展にどの程度の「インパクト」を与えたかが重要なのであり、ODAの戦略化とは、インパクトを最大化することではないかと思います。

他方、日本のODAが開発途上国の国家予算に占める割合は往々にして微々たるものなので、インパクトを大きくするためには、開発事業が持続的に効果を発揮するものであったり(持続性)、他の類似事業のモデルとして模倣可能なものであったり(レプリカビリティ)、制度能力を改善するものであったり(能力開発)する必要があります。これらをもたらすことこそが、ODAを供与する意義であり、また、ODAの難しいところでもあります。

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