問題はグローバル化ではないのだよ、愚か者
少し前の本ですが、「問題はグローバル化ではないのだよ、愚か者」(J・F・リシャール著、吉田利子訳、草思社、1,700円)を読みました。
タイトルは刺激的ですが内容は穏当です。本書のポイントは、グローバルな問題に国民国家や国際機関、国際条約といった既存の枠組みが対応できていないため、これを補完する枠組みとして、フラットな政府、市民社会、産業界からなる専門的な「地球規模問題ネットワーク」を設け、課題毎に次の20年で実施すべきことを整理し、評価クライテリアを設けて国や関係者の取組みを評価し、公開してはどうかというものです。
最初に読んだときは、そんなネットワークが有効なのか?と思いましたが、筆者が例としてあげている世界ダム委員会の活動をみると、やりようによっては影響力を持つかもしれないと思うようになりました。
また、各国の取組みを評価し、公表することによって行動を促すという点も、アメリカの1シンクタンクに過ぎないCGDの開発コミットメント指標が大きな注目を集めていることに鑑みると(日本の外務省もHP上で反論しています)、このアプローチも有効そうです。
実際にはこうした世界レベルのフラットなネットワークの動きはまだ実現しておらず、IT技術を駆使しても難しさがあるのでしょうが、筆者の柔軟な思考には学ぶべきところが多いと感じました。
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