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2007年3月21日 (水)

国益奪還

Kokueki アスキー新書から出たばかりの「国益奪還」(前田充浩著、740円+税)を早速買って読みました。OECDの輸出信用作業部会におけるタイド援助規制を題材に、国際会議の内幕を書いた貴重な本です。

題材は昨年日本テレビで放送された「敗北外交 ある異端官僚の逆襲」と同じですので、放送を見逃された人や、放送をみて関心をもった人にお勧めです。

この本の一番のポイントは、国際会議の場で米・英は、経済学に裏打ちされたグローバルな公共財としてのルール作りを提唱し、その中に国益をもぐりこませているのに対して、日本はそうしたルール作りができず、国益の維持のためにルールの「抜け穴」を探して対応するものの、国際会議は「繰り返しゲーム」であるため、次のラウンドで抜け穴は封じられ、結果的に日本の国益は損なわれていく一方である、という分析です。

この背景には、担当する官僚の人事ローテーションの問題がある(欧米の担当者は10年、20年と継続して交渉に参加するが、日本の担当者は2,3年のローテーションで交代するため、その場しのぎの対応になりやすい)という分析も興味深いです。

また、最終章では新しい開発援助のあり方として、OECDのODAの定義に縛られない新たな形でのインフラ支援を提唱しており、この箇所も勉強になります。

このように大変有益な本ですが、留意点があるとすれば、著者が「開発援助政策」という場合、最終章を除いて開発援助政策の「タイイング・ステータス」(ひも付きか否か)に限った話であるという点でしょうか。援助効果向上や二国間関係の増進といった二国間ODAに関する他のイシューは本書では含まれていません。

また、著者のいう国益とは「援助をひも付きにし、日本企業が日本のODA事業を落札すること」のように思われますが(これは、著者略歴には書かれていませんが、著者が経済産業省の方であることと関係があると思われます)、他方、ひも付きにすることによってコストがあがる弊害も指摘されています(たとえばこちら)。ひも付き援助がコスト高であるならば納税者にとっては看過できない問題であり、何をもって国益とするか、それをどう計量するかについては、慎重な検討が必要に思います。

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