国連の政治力学
毎日新聞の書評や、紀谷さんのブログ等、各所で評判となっている「国連の政治力学 日本はどこにいるのか」(北岡伸一著、中公新書、880円)を読みました。
学者らしい論理的かつ冷静でありつつ、国連代表部での仕事が臨場感あふれる筆致で書かれている、貴重な本です。
なかでも国連の安保理改革と北朝鮮の核実験に対する制裁決議という、日本が深くかかわった事案の外交交渉過程は、当事者でしか語りえないもので、外務省が普段どういう仕事をしているのかを理解するのに最適ではないでしょうか。
安保理改革については、よくある「日本には理念がないのに安保理の常任理事国になる資格があるのか」という批判に対して、自由と民主主義を標榜し、過去60年戦争をしていない平和国家で、ODAや2割近い国連分担金を通じて途上国の経済発展に貢献をしている日本が常任理事国になること自体が国際社会にとって重要であり、そもそも現在の常任理事国にだって理念はないと反論している点、さらに「理事国になってもアメリカに追従するだけ」という批判にも、そういう人は決議案を起草するところから関与できることの重要性に気がついていないと応じている点に説得力がありました。
また、私が本書のなかで特に印象に残ったのは次の箇所です(強調は引用者)。
この間、外交の本質にかかわる興味深い感想を持った。
われわれは、フランスがG4を支持して行動してくれたことに深く感謝している。しかし、それはフランスの基本的な考え方から来ている。とくに日本のためではない。日本やドイツなどの力のある国が入ってくることは、国連とマルチ(多国間)外交にとってよいことだという考え方がまずある。(略)
それ以上に、フランスの行動には、何か外交を楽しんでいるふうが見られた。実際、G4を支持してくれと、多くのフランス語圏の国々にとくに働きかけてくれたが、そういう働きかけによって、実はフランスはその外交能力を再生産し、拡大強化しているのである。
日本についても同じことが言えるのであって、外交はお金と違う。お金は使えばなくなるが、外交は適度に使えば、さらに強化される。筋肉を適度に使えば発達するのと同じである。
国連や外交に何らかの関心がある人は一読することをお勧めします。
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