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2007年11月24日 (土)

援助の行政コスト

先日、「マイクロソフトでは出会えなかった天職」で、NPO(ルーム・トゥ・リード)が寄付金を集めてネパールに学校を建てるという話を読みました。

実際のプロジェクト運営について詳細に細かく書いてあったわけではありませんが、マイクロソフトで培ったマネジメント能力を用いて成果重視で成功を収めているようです。

へええ、と思っていたら、先日、たまたま同じネパールの教育セクターに関連したこんなページに行き当たりました。

あるJICA在外事務所員の懺悔録-ドナー調整はかくも難しい

現場でのご苦労の様子が率直に書かれており、非常に貴重な資料です。

これを書かれた方はネパールに赴任し、世銀やUNICEF、デンマーク、ノルウェーとの協調案件である「基礎初等教育プロジェクト」を担当しますが、日本政府がネパール国向け無償資金協力を1年間とめたためにドナー会議で他のドナーから不満を述べられたり(無償資金協力は外務省の所管でありJICAに権限はないので言われても困るのですが)、教育専門家の派遣を依頼しても当該年度の予算不足を理由に派遣のタイミングが遅れ効果が発揮できなかったり、東京からきた調査団はドナー会議に出席しても「責任の範囲外」ということで一言も発言しなかったり・・・。

これを読むと、書かれた方が「個々人の自己努力の範囲ではどうにもならなかった課題を抽出している」といわれているとおり、公的援助にはシステムとして問題点があるのではないかと思えてきます。

もしルーム・トゥ・リードのようなNPOだったら、援助の停止を自分の権限の範囲外で決められることはないでしょうし、ドナー協調に時間を割くこともなく、また「責任の範囲外」といった態度で会議に参加してもひとことも発言しないような団長は降格でしょう。

JICA出身の山内康一議員は、自身のブログで、JICAは民間の力を引き出す実施促進機関たるべし、と主張しています。

それは、官から民へ、小さな政府へという改革の流れの中で、JICAの機能も再定義する必要があるのではないか、ODAの「実施機関」としてのJICAから、民間の力を最大限発揮させる「実施促進機関」としてのJICAに変化するべきではないか、ということです。

公的機関には単年度予算主義や予決令などの制約があるのは事実で、ルールも複雑怪奇かしていくのが官僚的組織の常ですが、そのなかでも開発援助としての成果を出すためには現場での裁量の拡大と柔軟性が必要です。

その努力は続けつつ(例えば政府からJICAへの権限委譲など)、それでも限界があるような場合は、さらに柔軟に対応ができるNPOなどに業務委託をするというのは、確かにひとつの方向であるように思います。

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