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2007年11月30日 (金)

徴兵制度のコスト

東国原知事が「徴兵制度はあってしかるべき」と発言したことが波紋を呼んでいるようです。

Economics_of_war 徴兵制度が軍国主義につながるかどうかはさておき、徴兵制度のメリット・デメリットはなんでしょうか。たまたま「戦争の経済学」(ポール・ポースト著、山形裕生訳、バジリコ社、1800円+税)を読んでいて、「第4章 軍の労働」に徴兵制度と志願兵制度の比較があったので簡単にまとめると以下のとおりとなります。

まず、志願兵制度の場合、兵をリクルートするのに民間と競合するため、賃金水準を高くする必要がありますが、徴兵制度では有無を言わさず兵役につかせるわけですから、競争的な賃金を設定する必要はありません。したがって、予算的には徴兵制の方が安上がりになります。

しかしながら、徴兵制の場合、兵隊として適性のある人もない人も採用するため、適性のない人が兵役よりもより適性のある仕事についていたら得られたであろう利益(個人の利益だけでなく社会の利益も含む)は失われます。つまり、機会費用が高くなる。

皆兵制では、医学的な欠格者を除けば全員が従軍しなければならない。非皆兵式の徴兵制では、出自、教育、労働上の条件に応じて兵役免除がていきょうされるということだ。どちらの制度も社会に対して機会費用をもたらす。

皆兵制だと、多くの人は有望な民間の仕事や人生の機会費用をあきらめて兵役につかなくてはならない。こうした例は無数にある。(中略)

非皆兵式の徴兵制は、社会の中の低所得で低教育な恵まれない人々に不利に働きかねない。そういう人たちは徴兵免除の資格を得る能力(たとえば大学進学)がないからだ。さらに、人々は生産的な活動に従事しないで、兵役逃れの活動に精を出すようになる。(中略)

こうした各種の非効率をまとめた結果、経済学者たちは非皆兵式の徴兵制の社会的費用は、予算費用の2倍くらいに達すると推計している。

東国原知事は、批判を受けて今度は徴農制が必要と言っているそうですが、機会費用が発生することに変わりはありません。

若者に「規律を教える」という目的で徴兵制や徴農制をしくというのは、発生する社会的費用に照らして成果が得られるものなのでしょうか。これまでどおり、学校や職場での研修でことたりるように思います。

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