イタリアにも抜かれるって本当ですか
先日の朝日新聞の記事。
日本政府による途上国援助(ODA)額が、10年には6位に転落する見通しであることが、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)の試算で明らかになった。00年まで10年連続で首位だったが、その後米英に抜かれて06年は3位に順位を落としていた。10年までに、さらに独仏伊に抜かれる見通しだ。
ドイツやフランスはわかるのですが、イタリア?
そこで、記事の情報源であるOECDの開発援助委員会のHPをみてみました。
ここに掲載されているStatistical Annex of the 2007 Development Co-operation Reportは合計35のエクセルのテーブルからなっており、なかなか見やすい参考資料になっています。
で、早速テーブル01eをみてみると、イタリアは2005年に50.9億ドルだったのに2006年は36.4億ドルと、なんと30%も減少しています。ほんとに2010年にはイタリアに抜かれるのでしょうか。
おそらく、DACの試算はEUとして採択したODA増加目標をイタリアが2010年までに達成したと仮定してこういう資料を作ったのでしょうが、ここのところのイタリアのパフォーマンスからして日本が抜かれるということは当分なさそうです。
以前にも書きましたが、DACのODA統計は、「(先進国から途上国への資金フロー)-(途上国から先進国への資金フロー(過去の貸付の返済など)」で計られます。記事では、
財政難の中、01年度以降は前年度比3~10.3%、ODA予算(一般会計ベース)を削減してきたのが最大の理由。
とあり、確かにそれはインパクトの大きい話なのですが、もうひとつの理由として、日本の援助は譲許的貸付の比率が他国に比べて大きいため、過去に貸し付けた資金が返ってきている(その分実績からマイナスされる)という構造的要因があります。
ちなみに返済を差し引かない、グロスベースの実績では日本(171億ドル)はアメリカ(245億ドル)についで引き続き2位、また、約束額ベースでもアメリカ(266億ドル)についで2位(173億ドル)です(テーブル13e参照)。
また、日本の地域別配分をみると、サブサハラ・アフリカ向けがグロスでもネットでもここ5年間で伸びています(テーブル27および28参照)。
来年はTICADがあり、また洞爺湖サミットで開発問題がとりあげられるなど、日本としてはこの分野でリーダーシップを発揮する必要に迫られているわけですが、こうした数字をみると、予算が削られているなかで工夫を凝らして対応していることがうかがえます。
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