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2008年2月

2008年2月26日 (火)

ジョッキーと早生まれ

以前、競走馬は1,2月生まれが有利であるというデータを紹介しましたが、騎手について、先日読んだ「こんなに使える経済学」で下記のような記述がありました。

実は、プロ野球選手には4~6月生まれの人が多い。(略)別の研究では、サッカーJリーグの選手にも同様の傾向がみられたという。これは小学校の低学年で4~6月生まれの子供が、早生まれの子に比べて体格的に有利で、その幼児期の成功体験が刷り込まれ、野球やサッカーを続けるかどうかの判断や、本人の自身に影響を与えるためではないかと考えられている。

その傍証として、同ホームページでは中学卒業後に競技を始める競馬(JRA)のジョッキーの生まれ月も調べているが、4~6月生まれのジョッキーは19人なのに、1~3月生まれは62人もいた。本当は身体能力が高いのに、小さいときから始める野球やサッカーといったスポーツでは振るわなかった人がジョッキーを選んでいるからかもしれない。
(第2章 学年ごとの競争は公平か P.55)

へええ、と思って今日発売の競馬ブックの「新人騎手紹介」をみると、

伊藤工真 騎手 平成2年2月26日生まれ

大江原圭 騎手 平成2年2月26日生まれ

三浦皇成 騎手 平成1年12月19日生まれ

なんと、3名とも同学年では生まれが遅い方です。確かに、これは単なる偶然ではなさそうですね。

なお、「こんなに使える経済学」では、生まれ月が中学時の成績や最終学歴にまで影響を及ぼすことを統計を使って説明、そのうえで学年という制度にこだわらず、生まれ月3ヶ月ごとにグループを作って徒競走をしたり、偏差値計算をしてもよいのではないかと提唱しています。

人間と馬とは違いますが、遅生まれの馬の平均獲得賞金が少なく、その結果が取引価格にも反映されているとすれば、5,6月生まれの馬とその生産者に配慮する手段として2歳から3歳の途中ぐらいまで、「遅生まれ限定レース」を組むことも一案かもしれません。

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2008年2月24日 (日)

輸送熱

私の期待馬、マイネルクルーガーが入厩したと思ったら…、

13日(水)、ビッグレッドファーム明和から、栗東の宮厩舎に移動しました。到着時に40度近い熱発があり、舎飼いで休養することに。15日(金)の午後には平熱へ下がったものの、今度は便秘で腹痛の恐れがあるとの診断を受けて体を動かせていません。すでに落ち着いてはいるものの、調教をやり直す必要があることから、一度鉾田へ移動して立て直すことになりました。木曜日にMカーロと一緒に出発します。

サラブレッドは難しい。いわゆる「輸送熱」というやつですが、生き物だから仕方ありませんね。

北海道から滋賀県の栗東まで馬運車で輸送されるので、相当な長距離移動であることには違いありません。しかし、送り出す側も細心の注意を払って送り出すはず。どうしてこのようなことがおきるのかというと、JRAのページにこういうコラムがあります。

サラブレッド研究の現場から Vol2 競走馬は輸送に弱いの?

これらの研究から、長い間、不明とされてきた「輸送熱」という病気の正体も、おぼろげながら見えてきたと言えそうです。「輸送にともなう種々の刺激が直接的あるいは間接的に馬体を冒して、細菌感染に対する抵抗力を弱くする。このような状態では、普段はおとなしくしている気道中の常在菌(馬が健康な状態で持っている細菌)が暴れだし、大量に増加して肺炎を起こす」という発症までのストーリーが考えられました。

そして、輸送熱の予防には馬運車内を清潔に維持すること(換気状況の改善、糞尿の処理、ホコリを少なくする工夫など)、輸送中の休憩はできるだけ長く、多くすること(換気回数の増加、ストレス因子の減少)などが重要であることをきゅう舎関係者に提言しました。

なるほど。

輸送熱というのは馬鹿になりません。私もそんなに多くの馬をもったわけではありませんが、かつて出資していた馬で輸送熱がもとで肺炎を発症し、入院した馬がいました。結局、次のレースに出るまで9ヶ月以上の休養をはさまなくてはいけませんでした。

クルーガーはラフィアンが最近作った茨城県の鉾田トレセンに移動することになりましたが、輸送熱は輸送時間が短いと発症しにくいらしいので、近距離移動ができる場所にトレセンを持つということは意味が大きそうですね。

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2008年2月23日 (土)

こんなに使える経済学

Economics_is_useful 「こんなに使える経済学-肥満から出世まで」(大竹文雄 編、ちくま新書、680円+税)

経済学の分析枠組みで、肥満の問題や教育、労働問題を考えるとこうなる、という事例を5,6ページの分量にまとめて紹介し、経済学への関心を喚起させようという本。

いずれのトピックも読みやすく、「経済学」というと抽象的でとっつきにくいイメージをもっている人でもこれを読めば勉強してみようか、という気になるのではないでしょうか。

また、私は編纂者の大竹大阪大学教授の序文がわかりやすくて素晴らしいと思いました。

以下、印象の残った文をいくつか。

経済学を学ぶときに最も重要なことは、人は幸福になろうというインセンティブをもって行動しているということを理解することである。そのような人々のインセンティブを無視して組織や制度を作ると、必ず失敗するということである。命令をしたり、規制さえすれば必ずそのとおりに人々が行動するという前提で制度を作ると、うまくいかない。
(序 「経済学は役立たず」は本当か P.11)

経済学の本質的な面白さは、社会の仕組みを考えることで、どうしたら人々が豊かになるかを考えることだ。解雇規制を緩和するほうがいいという提案を聞けば、多くの人は「不安定な雇用にする方がいいわけがない」という拒否反応を示す。(略)しかし、解雇規制を緩和したほうが、企業が積極的に人を雇うようになって、職を失う人よりも職を得る人の方が多くなるかもしれない。
(略)
制度を設計する上では、そういう矛盾がつねにある。ある制度変更をすると、その当事者本人がどうなるかということだけではなくて、そういう制度を変更すると次に何が起こるかという先まで考えると、人々の常識とは逆のことが起こることもある。そういうことをしっかり見据えて、本当に豊かになる方法を考えられるところが経済学の一番面白い点である。
(同、P.17-18)

いい入門書なので、これで巻末に次に読むべき本のリストでも載せてくれればなおよかったのですが、それは望みすぎでしょうか。

いずれにしてもお勧めです。

【おまけ】
経済学を無視し、インセンティヴとか次に何が起きるかを考えずに政策や法律を作るとこうなります。
「猫でもわかる「ジンバブエ」の簡単な解説」
http://alfalfa.livedoor.biz/archives/51237737.html

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2008年2月21日 (木)

グローバル指向のハト派

Yahoo!みんなの政治 政治ポジションテスト外交編の私の結果。

グローバル指向+4 ハト派指向-2。

このグループに近い考えの政治家:吉田茂、石橋湛山、ビル・クリントン

開発援助に関するエントリばかり書いているのですから、ある程度予想可能な診断結果かと。確かに石橋湛山なんかは、病気にならなければ日本はその後どうなっていたんだろう、などと思うことがあります。

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2008年2月20日 (水)

社会変革に要する時間

最近、i-podでBBCラジオニュースを聞いています。

さすがBBCというか、大事なニュースを、しかもバランスのとれた伝え方で報道しているので勉強になりますし、何より視野が広がります。

ここのところケニアやパキスタンなど、イギリスの旧植民地において選挙をめぐる混乱が続いていますが、最近のBBCニュースでも何度か西側が押し付ける民主選挙は途上国には根付かないのか、という短い討論をやっていました。

その中で発言者が、民主政治はまずhome grownでなければならない、という前提をおきつつ、フランスでもイギリスでも民主政治が定着するまでには100年単位の時間がかかっており、アフリカや南アジアでも安定した民主制が定着するまでには相応の時間がかかるものであるということを理解すべきだ、という趣旨のことを言っていました。

人間の一生は短いので、MDGsの達成にしても民主政治の定着にしても早期に結果を求め勝ちですが、先進国がかつて成し遂げた以上のことを途上国は今要求されているという認識をもっておくべきではないかと思います。

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2008年2月19日 (火)

国家は、いらない

No_need_for_the_state 東洋経済の書評でとりあげられていたので読んでみました。

「国家は、いらない」(蔵研也著、洋泉社ペーパーバックス、952円+税)

普通、市場経済に任せていては格差が拡大したり公共財が供給されなかったりするため、政府が規制を設けて経済的弱者を保護したり、公益事業を行ったりします。

ところが、本書では、その規制や公益事業のために保護されるべき経済的弱者が不利益をこうむっている実態がエビデンスとともに明らかにされます。

例えば、電力やガスは新規参入が規制されているために電力会社やガス会社の一社独占のため諸外国よりも国民は高い料金を払わされており、農業保護政策によって自由化した場合に比べて米は8倍、小麦は2.5倍も高くなっており、結果的に低所得者層を直撃しています。

さらに、私が驚いたのは、累進性があるとされる税制でも、多様な控除制度があるため、実際には8割もの日本人が最低税率にあること、年収が1000万円以下の場合は所得があがるほど実効税率は低くなっているという事実です。

どうしてこういうことになってしまうのか?

それは民主主義の過程で、公益を主張する力の強い人々が政策の意図を捻じ曲げしまうからだと著者はいいます。

しかし、公共選択の理論が明らかにしているように、ほとんど定義によって、弱者が使える資源に比べて、強者の使える資源のほうがはるかに多い。

自分が強者であれば、弱者保護政策の名の下に税金をとりあげられるのを等閑視するはずがないのだ。政治家にロビー活動をして、弱者保護は経済成長に不利であることを説得したり、あるいは税制に実質的な抜け穴をつくってもらおうとするだろう。

結果、弱者保護は民主主義の政治過程のなかでほとんどが骨抜きにされることになってしまう。
(第10章 真の公益性を実現するのは誰なのか P229-230)

ではどうすればよいのか。

著者は、弱者を直接に金銭補助し、それ以外の政策はその制定過程で強者の介入や官僚のお手盛りが発生して弱者を踏みつけにするので一切廃止すべきと主張します。

それ以外の、政府が従来供給してきた公共的な活動は、自発的な団体がやるほうがモチベーションにおいてもやり方においても政府よりも効率が高いのでこれらに任せるべきである、とも。これは、例えば開発援助は、政府が納税者から集めた税金でODAとして実施するよりも自発的な団体である開発NGOなんかがやったほうが効率的かもしれない、ということですね。(注:この例は私が考えたもの)

かなりラディカルな議論ですが、なるほどと思わせるところが多分にあります。大変勉強になりました。

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2008年2月17日 (日)

実力拮抗の大混戦

マイネルヴルメリオ(父バブルガムフェロー)が京都8R芝1600mに出走します。

ここ5走は4着→7着→3着→7着→9着と、自分の出資馬でなければ手を出しづらい成績ですが、今回は未勝利戦を勝ったときと同一条件でのレースなのでそこに期待です。でないと、次どこの条件を使ったらいいのか…。

このレース、データマイニングの数値もTargetのタイム指数も抜けた馬がおらず、8時30分時点で1番人気が6倍台というオッズに反映されています。どの馬にもチャンスがあるわけで、ヴルメリオが上位に食い込む可能性も十分にありそうです。

ところでラフィアンでは、先日マイネルクルーガー(父Montjeu)が入厩しました。放牧中に一旦順調さを欠きましたが、ここにきて調子をあげているようですので、休養前のように芝の中距離戦線での活躍が期待できそうです。

【レース後追記】

9番人気12着。切れる脚がないのに、スローペースの競馬でしかも後方から。直線入り口で少し差を詰めて「お」と思いましたが、そこからは伸びが見られませんでした。

前走も後方からの競馬で全く見所がなかっただけに今回は騎乗に工夫がみられるかと思ったのですが。馬自身の力も足りないのだとは思いますが、これでは上位にはこれません。

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2008年2月16日 (土)

一クラスあたりの生徒数

「35人学級の見直し」を主張している橋下大阪府知事が、現場を視察して「自分の教育論は机上の空論だった」と反省した、という記事がありました。

13日に視察した柱本小では、子どもの理解の度合いに応じてクラスを半数ずつ2カ所の教室に分け、少人数で指導する様子を見守った。橋下知事は「40人、50人でも授業は可能と思っていた。現場を見て、少人数で手取り足取り教えることも必要だとわかった」。

その後の会見では、「ただちに持論が変わったわけではない」と語りつつ、「あまりの世間知らずに恥ずかしさを感じました」と反省。府教委などと議論を重ねていく考えを示した。
(2月14日付朝日新聞より)

以前、「社会的実験に基づく貧困削減」という記事を載せましたが、政策決定は当該政策の効果が科学的手法で実証されているかどうかで判断するべきだと考えます。でないと、政策意思決定者の「思い込み」や「机上の空論」で適切でない政策が実行されるおそれがあります。

もし一クラスあたりの人数だけを考えるのであれば(それだけが学力向上の要素ではないと思いますが)、公立学校を無作為抽出し、35人学級にする学校群と50人学級の学校群にわけて、その効果を比較してみればいいわけです。

まあ、このやり方は日本では政治的に受け入れられないでしょうから(50人学級の学区の家庭は猛反発するでしょう)、全国の公立学校で一クラスあたりの学級数と学力テストの成績の相関関係を調べて効果を比較するというやり方もありそうです。

こうした手法は、途上国の開発政策の現場で取り入れられ始めています。そんななかで日本が政治家の思い込みや思いつきで政策が右往左往するというのはどんなものかと。

そうはいっても「私は科学的に効果が実証された政策しか実行しません」なんていう主張では、選挙には受からないのでしょうね。

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2008年2月14日 (木)

奴隷貿易がアフリカに与えた影響

アフリカの低開発の原因として、ヨーロッパの植民地支配と奴隷貿易がよく挙げられます。

奴隷貿易については、それによってアフリカの労働力が流失し、経済成長を阻害したという程度の認識しかなく、現在の低開発状態にとってどのぐらい影響を与えるのかについてはよくわかっていませんでした。

今日、The Historical Origins of Africa's Underdevelopmentという記事を読んだのですが、これによれば、アフリカ諸国のうち、奴隷貿易で多くの人間が輸出された地域ほど現在(2000年)の一人当たりGNPは低いという相関関係がみられるそうです。

しかも、奴隷貿易が盛んだった地域は当時としてはもっとも発展していた地域だったにもかかわらず、多くの人々が奴隷として連れ去られた結果、幅広い民族グループの成立が阻害され(民族が断片化され)、政治構造が脆弱化し、現在も民族的に断片化された地域となっているというのです。

この記事を書いたNathan Nannブリティッシュコロンビア大学准教授の計算によれば、もし奴隷貿易がなければアフリカと他の開発途上地域との経済格差の99%は存在しなかっただろうということです。

奴隷貿易は1400年代~1800年代まで4世紀の長期にわたって行われていましたが、想像以上に大きく現在のアフリカの状態に影響を与えているようです。

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2008年2月11日 (月)

フリートアドミラルすごい

ユニオンの4歳世代はクーヴェルチュールが重賞勝ち馬になり、マンハッタンスカイが菊花賞出走、そのほかにも1000万下卒業も間近なレゾリューションと近年にない当たり年ですが、その世代にまた大物が登場しました。

今日の東京12Rダート2100mに出走したフリートアドミラル。人気馬のジャンバルジャンを追いかける展開で、「さすがに追いかけすぎじゃないか?」と半信半疑でみていましたが逆に直線ではリードを広げる一方で5馬身差の圧勝。

すばらしい。条件戦にもかかわらず、感動しました。

これで4戦3勝。出資者のみなさん、おめでとうございます。なんでこういう馬に出資できないのだろう…。

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皇居駅伝2008

Koukyoekiden 皇居駅伝2008に職場の同僚と参加してきました。

職場の同僚といっても20歳台が中心で、私のようなロートルが出る幕ではないのですが、補欠登録をしていたところ繰り上がりで出走がかなったものです。

昨年3月から走り始めて約1年、ジョギングはしてもランニングはしてないので、どこまで走れるか不安でしたが(年甲斐もなく前日の晩は大層緊張しました)、走り出すと結構楽しく走れました。とはいえ、後半さすがにバテて下り坂にもかかわらずフラフラでしたが。

しかし襷をもらって、それを肩にかけて端をランニングパンツに入れると気合が入りますね。同僚からも「職場でみることのない真剣な表情だったぞ」と冷やかされました。ははは。

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2008年2月 9日 (土)

記者会見

昨晩、南アに寄航中の「ピースボート」の参加者がのったツアーバスが道路からはずれ、けが人がでたというニュースがありました。

報道があったとき、私は新宿にいたのですが、実家から父がそのツアーに参加しているかもしれないとあわてた様子で電話がありました。NHKの第一報では行方不明者が出ているという情報だったのであわてるのも無理はありません。

家族いわく、ツアー会社に電話しても誰もでないというので、私が高田馬場にある会社に直接行って情報を確認することにしました。が、いってみるとシャッターがおりており、誰もいません。

そうしているうちにテレビカメラや報道関係者が集まり始め、と同時にツアー会社の人がでてきて「あと5分で記者会見をします」ということになりました。私はただ私の家族がけが人に含まれているかどうかを知りたかっただけなのですが、どやどやと取材陣と一緒にツアー会社の店舗に入り込み、記者会見に臨席することに。

まず最初にツアー会社の取締役から全員軽傷で命に別状はなく既に病院に収容されているという発表があり一安心(注:今日になり訂正報道あり)。そのあとは心に余裕がでてきてツアー会社側の説明振りや記者の質問のポイントなどをみていたのですが、その要領のよさは勉強になりました。

結局、私の父はそのバスには乗っておらず無事でした。怪我をされた方々のご快癒をお祈り申し上げます。

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2008年2月 6日 (水)

ダメな議論

Dame 昨日とりあげた日能研の「シカクいアタマを…」を読んでいて、「ダメな議論-論理思考で見抜く」(飯田泰之著、ちくま新書、680円+税)のことを思い出しました。

「ダメな議論」は世の中のさまざまな言説のなかからダメな議論を見抜き、よりまともな(有用な)議論を選択していくための方法を記した本です。

ところどころ経済学の考え方になじんでいないと飲み込みづらい箇所がありますが、それを除けば平易に書いてあり、なにより「ダメ議論」を見抜く手法が簡易に得られるという点で大変優れた本です。より多くの人がこの本を読んでリテラシーを身につければ政策論争も、テレビでの報道のされ方も大分変わると思うのですが。

なお、日能研の「シカクい…」でとりあげられていた学習院大学付属中学校の問題は、食料自給率を上げるという政策が正しいという前提で出題されていますが、いわゆる食糧安保論の議論としてのダメさ加減は、本書の第4章でとりあげられていますので、関心のある方はぜひ本書を読んでみてください。

なお、著者の「ソーシャル・サイエンス・ハック!」は面白くてためになるのでお勧めです。

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2008年2月 4日 (月)

食べ残しを減らせば食料自給率があがる?

通勤途中にみた日能研の広告「シカクいアタマをマルくする」をみて悩んでしまいました。

食料自給率を上げるために、食事をする私たちができることのひとつに「食べ残しを減らす」ことがあります。「食べ残しを減らす」となぜ自給率が上がるのですか。理由を考えて答えなさい。
(2008年学習院中等科入試問題より)

なんで食べ残しを減らすと自給率があがるのでしょうか。

「食べ残しを減らす」を「食品に対する需要を減らす」と考えると、需要曲線が左方シフトして価格が下がり、国内農家の生産増加のインセンティヴは下がり、安価な輸入食料のシェアがますますあがるような気がしますが。

気になったので日能研のサイトで答えを確認すると・・・

(解答例)
食べ残してむだになる食料が減れば、必要以上の食料を外国から輸入することもなくなるから。

(解説)
食料自給率は、【国内生産量÷国内消費量×100(%)】で計算することができます。このとき、国内消費量は、【国内生産量+輸入量-輸出量】で求めます。つまり、国内の生産量が増えなくても、輸入量を減らすことができれば、食料自給率は上がるのです。
 一方、日本人は多くの食品をむだにしています。大量生産・大量消費の世の中では、生産された食品が売れ残ったまま消費期限をすぎてしまい、廃棄されることが日常的におこなわれています。また、私たち消費者も、買った食品を冷蔵庫の中で腐らせてしまったり、飲食店で頼んだメニューを食べきれずに残してしまったりするでしょう。このようなむだをできるだけなくせば、食料の輸入も減らせるのです。
 もちろん、本当には必要でない食料を、貿易相手国との関係を保つために輸入せざるを得ないという現実もあるでしょう。しかし、食料自給率を上げるために、私たちができることもあるのだという視点も持つことが大切なのではないでしょうか。

ええーっ。

食べ物を無駄にするのはよくないのはもちろんですが、食料の輸入を行っているのは足りないからではなくて、そのほうが安上がりだからです。高い関税をかけ国内の農業を保護することは可能ですが(実際にはWTOとの関係で困難ですが)、その結果消費者は高価な食料を買わされることになり、経済的なメリットはありません。

まして、「本当には必要ではない食料を、貿易相手国との関係を保つために輸入せざるを得ないという現実もあるでしょう」とは、一体なんのことを言っているのでしょう。食料を輸入しているのは商社などの民間企業ですが、企業の行動原理は営利であり、相手国との関係を保つために輸入をすることはありません。

というわけで、食べ残しを減らしたからといって食料自給率があがるとは思えません。

学習院、これが社会科の問題と解答とは、大学には経済学部もあるのに大丈夫でしょうか…。

【追記】

食料自給率を上げるために食べ残しを減らす、というのは、農水省が言っていることでした。こちらのページ

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2008年2月 3日 (日)

新説 母馬血統学

Hahauma 「新説 母馬血統学」(吉沢譲治著、講談社+α文庫 780円)を読みました。

サラブレッドは当然父と母の双方から遺伝子を受け継ぐわけで、父系と同じように母系も重要なのですが、父系が系統ごとに整理されており、また産駒が多いため統計も取りやすいのに対して、母系は繁殖牝馬の数は種牡馬のそれをはるかに上回り、茫漠としていて捉えどころがありません。

そんなわけで私も母系についてはぼんやりとしたイメージしかもっておらず、それが気持ち悪かったのですが、この本ではイギリスでジェネラルスタッドブックやファミリーナンバー、日本の牝系(種正系とか星旗系とか)についてまとめてあり、大分すっきりしました。

しかし、帯にある「画期的新理論!! ウオッカ激走の秘密!」というのはどうかなあ…。そのような新理論は本文中にはないし、著者が本書を書いた意図にも合致していないのではないかと。

というわけで、本書に新理論を期待してはいけませんが、それがなくても十分楽しめると思います。読み終わって思わず私もカタログの血統表にRibotとかBustedとかの重厚なステイヤー血統を探してしまいました。

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スハルト元大統領

インドネシアのスハルト元大統領が死去し、しばらく日本の新聞各紙でもスハルト元大統領が残した足跡についてたどる記事が載りました。

そうした記事は、おおむね「インドネシア開発の父として国をまとめ経済成長をもたらしたが、その一方、人権侵害や晩年はファミリーにビジネス利権をあたえるなど汚職が蔓延、最後はアジア通貨危機を引き起こして退陣した」として、功罪相半ばする評価を下している点で共通しています。

数あるスハルト評のなかで、私が興味深いと思ったのは、またCGDのブログからで恐縮ですが、スハルト政権期にジャカルタで世銀のインドネシア担当課長をしていたデ・トレイ氏のGiving Suharto his dueと題されたエントリです。

デ・トレイ氏は、世間はスハルトの悪い面に着目するあまり、彼が開発で目覚しい成果をあげたことの教訓に学ぶことができなくなっているのではないかと指摘します。

スハルトが政権を取る前、インドネシアの一人当たりGNPはわずか60ドルで、ナイジェリアの3分の1、パキスタンやインドの2分の1でした。その30年後、インドネシアの一人当たりGNPは980ドルに達しましたが、これは中国と同じ、パキスタンの2倍、インドの3倍、ナイジェリアの4倍に相当します。しかもこの成長は一部のエリート層を潤したのではなく、その証拠にこの30年間で所得配分はほとんど変わらず、ひとりあたりの平均所得カロリーも大幅に改善されました。

よく言われる不正蓄財についても、スハルト自身は宮殿に住んでいたわけではなく、ファミリービジネスについては、彼らはスハルト一族であるという理由で市場へのアクセスを得ましたが、彼らのコングロマリットは雇用を生み出し、物を生産し、開発に貢献しました。また汚職についても、もちろんあったわけですが、アジアの奇跡と呼ばれる開発成果を阻害するものではなかったようです。

こうした点を指摘しつつ、デ・トレイ氏は以下のように述べます。

One of my great frustrations after leaving Indonesia is that no one seems willing to step back and try to understand why Indonesia did so well for so long under Suharto, and from such an awful starting point. My guess is that this hasn't happened because giving Suharto his due as a development leader is more than political correctness can accommodate. What a shame.

(インドネシアを離れた後、長いスハルト政権下でなぜあのようなひどい状態からインドネシアが高い成果を上げたのかを誰も理解しようとしないことについて、私は大いに不満だった。 おそらくスハルトに開発のリーダーとして正当な評価を与えることは「政治的な正しさ」が許容できる範囲を超えているからであろう。残念なことである。)

なお、私はスハルト政権末期に、ジャワ島以外の外島(カリマンタンやスラウェシ、ロンボク、イリヤンジャヤ等)の貧困村にアクセス道路など基礎的なインフラを供給するプログラムに関わっていたことがあります。当時、このプログラムはスハルトの人気とりのための政策だなどと陰口をいう人もいましたが、開発の成果を貧困層にまで届けようとしているインドネシア政府関係者の真摯な働きぶりが強く印象に残っています。

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