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2008年2月23日 (土)

こんなに使える経済学

Economics_is_useful 「こんなに使える経済学-肥満から出世まで」(大竹文雄 編、ちくま新書、680円+税)

経済学の分析枠組みで、肥満の問題や教育、労働問題を考えるとこうなる、という事例を5,6ページの分量にまとめて紹介し、経済学への関心を喚起させようという本。

いずれのトピックも読みやすく、「経済学」というと抽象的でとっつきにくいイメージをもっている人でもこれを読めば勉強してみようか、という気になるのではないでしょうか。

また、私は編纂者の大竹大阪大学教授の序文がわかりやすくて素晴らしいと思いました。

以下、印象の残った文をいくつか。

経済学を学ぶときに最も重要なことは、人は幸福になろうというインセンティブをもって行動しているということを理解することである。そのような人々のインセンティブを無視して組織や制度を作ると、必ず失敗するということである。命令をしたり、規制さえすれば必ずそのとおりに人々が行動するという前提で制度を作ると、うまくいかない。
(序 「経済学は役立たず」は本当か P.11)

経済学の本質的な面白さは、社会の仕組みを考えることで、どうしたら人々が豊かになるかを考えることだ。解雇規制を緩和するほうがいいという提案を聞けば、多くの人は「不安定な雇用にする方がいいわけがない」という拒否反応を示す。(略)しかし、解雇規制を緩和したほうが、企業が積極的に人を雇うようになって、職を失う人よりも職を得る人の方が多くなるかもしれない。
(略)
制度を設計する上では、そういう矛盾がつねにある。ある制度変更をすると、その当事者本人がどうなるかということだけではなくて、そういう制度を変更すると次に何が起こるかという先まで考えると、人々の常識とは逆のことが起こることもある。そういうことをしっかり見据えて、本当に豊かになる方法を考えられるところが経済学の一番面白い点である。
(同、P.17-18)

いい入門書なので、これで巻末に次に読むべき本のリストでも載せてくれればなおよかったのですが、それは望みすぎでしょうか。

いずれにしてもお勧めです。

【おまけ】
経済学を無視し、インセンティヴとか次に何が起きるかを考えずに政策や法律を作るとこうなります。
「猫でもわかる「ジンバブエ」の簡単な解説」
http://alfalfa.livedoor.biz/archives/51237737.html

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