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2008年4月 4日 (金)

日本のODA、5位転落

本日の朝日新聞の記事。

日本のODA、5位に転落

日本政府による07年の途上国援助(ODA)総額(暫定値)が財政難などから前年比30.1%減の76.9億ドル(約7800億円)となり、ドイツ、フランスに抜かれて、国別で前年の3位から5位に転落したことが2日、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)の調査で明らかになった。

いくつかコメントを。

記事では順位を下げた理由について、①財政難でODA予算が減った、②対イラク支援の一貫として実施した債務削減が終了した、ことの2点を挙げています。

OECD DACのHPではまだ詳細が掲載されていないので、詳細な数字の分析ができないのですが、おそらく減額の直接の理由は上記①、②のとおりだと思います。

ただ、おそらく日本のODA実績が低下していることの大きな要因は、過去に貸し付けたODA借款の返済が増えているため、貸付額から返済額をひいた純額ベースでの実績(OECDの統計は純額ベース)が伸び悩んでいることにあります。

これは構造的な要因であり、純額ベースで統計を取り続けるかぎり避けようのないものです。実際に日本の援助が途上国の現場でどのぐらいのプレゼンスをもっているかは、グロスでどの地域に資金が向かっているかをみないと正確なところはわかりません。

また、今後のトレンドを考える上で、これまで日本がODAの大宗を振り向けてきた東アジア、東南アジアの経済発展の影響を無視することはできません。

2008年にかつての主要援助先であった中国向けの円借款が終了し、東南アジア諸国もマレーシア、タイなど、成長軌道にのりかつてほど円借款を必要としなくなってきています。インド、ベトナムといった国の資金需要は引き続き旺盛ですが、中国や東南アジア向け支援が減少した分の資源を今後どこに振り向けるのか、その吸収能力をもった有力な地域はあるのか、というのは大きなポイントです。

さらにいえば、世界的な金余りの状況において、円建て・長期・固定という「円借款」というスキームの魅力が減じてきているのではないか、という点も考えてみる必要があるかもしれません。

開発途上国の経済発展に資する支援とはどのようなものか。朝日新聞の記事では官民の力を合わせるパッケージ支援や国際機関との連携などが提言されていますが、まさにそのとおりで、単に資金量や順位にこだわるのではなく、いかにして機動的、効率的、効果的な援助を供与するか、その体制作りが問われていると思います。

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2007年度のODA拠出額が、76.9億ドルで世界5位になったことが分かりました [続きを読む]

受信: 2008年4月 6日 (日) 12時39分

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