アフリカ向け40億ドルの支援は巨額か
TICAD(東京アフリカ開発会議)が終了しましたが、昨日の朝日新聞に「支援策に厳しい目 NGO「債務増懸念」」と題した記事がありました。
今回の会議を機に日本のNGOが結成した「TICADIV・NGOネットワーク」は、福田首相が表明したインフラ整備を中心に5年間で最大40億ドル(約4200億円)の円借款を供与するとの方針に対して見解を発表。
「アフリカ諸国に巨額な借款を行い、再び大きな債務を生じさせることが適切かどうか、強い疑問を感じざるを得ない」と疑念を示した。
(5月30日付朝日新聞朝刊。TICADIV・NGOネットワークの声明文はこちら)。
「巨額」とか「大きい」という場合、「何に比べて」が重要です。
40億ドルは、一個人からすれば巨額ですが、アフリカ全体で考えるとどうなるでしょうか。
IMFのWorld Economic Outlookによれば、2008年のアフリカ全体での対外債務は、2623億ドルです。今後5年間で供与されるという40億ドルは、わずか1.5%に過ぎません。
アフリカの対外債務2623億ドルが大きいか小さいかは、GDP比ではかることができます。債務/GDP比は2008年で20.5%。開発途上地域全体のこの値は、25.1%で必ずしもアフリカ地域の債務負担が大きいわけではありません。これは近年の債務削減の貢献が大きく、2002年には60.5%もありました。
もちろん、債務削減によって数値が改善したのであって、この5年間でアフリカの経済構造が大きくかわったわけではありません。したがって、数値がよくなったからと言って、また借款を供与すれば債務危機がまた起きるのではないか、という懸念は当然あります。
そのためにはより厳格な対外債務管理、真に生産的な投資への供与、供与する借款の条件改善が必要です。
借款の供与条件については、近年、大幅に改善されています。こちらのページで確認できますが、LDCかつ貧困国(サハラ以南アフリカの多くがこのカテゴリに入ります)への借款は、金利0.01%という、ほとんど利子なしの条件で供与されます。償還期間は40年、うち最初の10年間は元本の返済は免除されます。
再び債務問題が発生するということは、この条件でも返済できないということになりますが、10年後、無利子でも返済できない状況に陥っているということは、債務問題という以前に、サハラ以南アフリカの経済が今後もゼロもしくはマイナス成長であり続ける、という大変な状況に陥っているということになります。
ちなみに「大きい」「小さい」に話を戻しますと、5年間で4200億円ということは年間にならすと840億円。2007年のインド一国への円借款の供与額は2251億円で、この2.6倍。アフリカ全体でもインド向け借款の額に及びません。
また、日本の公共事業と比べると、財務省HPのたまたま見つけやすいところにあった「平成20年度予算のポイント」をみると、スーパー中核港湾の整備(601億円)と空港等機能高質化事業(204億円)で約800億円。日本国内では、単年度でいくつかの港と空港を整備するのに使うお金にすぎません。
こう比較してみると、アフリカ全体で5年間4200億円というのは、はたして「強い疑問を感じる」ほどの「巨額」と言えるのかどうか、私は疑問です。
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今月、TICAD IVが開催されるとあって新聞もテレビもアフリカ関連の番組・記事を多数紹介しています。
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