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2008年6月14日 (土)

床屋談義

朝日新聞の経済気象台は、「エコノミストら一線で活躍する経済人が独自の視点で、経済の今を語ります。朝日新聞掲載の伝統のコラムです。」ということらしいのですが、今日の新聞に出ていた「TICAD 4」と題する記事は、本当に「エコノミストら一線で活躍する経済人」が書いたのでしょうか。

まるで朝貢を受ける中国皇帝を髣髴(ほうふつ)とさせた。就任以来頻発する内政問題で憂鬱(ゆううつ)な福田首相は、外交での挽回(ばんかい)を図って、アフリカ40カ国の首脳と個別会談を行い、第4回アフリカ開発会議(TICAD 4)の終幕では5年後にアフリカ向けODAを倍増する約束まで行った。

役人と政治家の無駄遣いと失政のおかげで借金大国となってしまったこの国に、他国を援助する余裕などはもはやない。

ヨーロッパの小国であるギリシャやオーストリアはおろか、中国、インド、タイ、トルコまでもが他国に援助してるのですが、日本には援助する余裕はないのでしょうか。

たぶん、これを書いた人は、日本政府の歳出82兆円のうち、ODAは6,913億円で、わずか0.8%にすぎないことも知らないものとみました。

巨額の援助資金の多くは、先進国の大企業が回収し、残りの大部分も独裁者の懐に消える。加えて、他国のODA支援には武器輸出が相当含まれているといわれている。

ひも付き援助で先進国の大企業が受注するような形態のODAは、かなり減っています。特にアフリカでは、途上国政府の経常支出をサポートする「一般財政支援」が主流となっていて、対象分野も初等教育や基礎保健医療が多く、大企業との癒着が云々されるようなものは少なくなっています。

また、ODA支援にはOECDの定義上、軍事支援は含まれません。これは基本中の基本です。

元々アフリカには、旧宗主国が様々な既得権益と人脈を有している。また、中国やインドは華僑や印僑が現地に根付いている。出稼ぎの商社マンとメーカーの販売社員ではアフリカに食い込むことはできない。

アフリカ諸国でヤマハ発動機が大勢の青年海外協力隊OBを採用して、船外機の営業とともに漁業指導を行うことによって現地で大きな信頼を得ているといったこともご存じないのでしょうね。

エコノミストが書いたというより、床屋談義に近い内容で、失望しました。ODAを減らせという主張の是非はともかく、事実関係ぐらいは踏まえてほしいものです。FTなんかでは絶対のらないような記事だと思うのですが。

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コメント

メディアウォッチャーさん、こんにちは。コメントをいただいておきながら返事が遅くなり申し訳ありません。
私も「メディアに対して質のチェックを効かせるのは難しいのかなあ」と思っていましたが、ここ数日、朝日新聞の素粒子が波紋を呼んでいますね。やはりひどい内容のものはひどいというフィードバックすることが大事なのだなと思う一件でした。

投稿: participant | 2008年6月26日 (木) 01時30分

確かに。メディアは他者の過ちには容赦なく正義の剣をかざしますが、自らの仕事に対する質のチェックは効かないシステムになっているようですね。販売員が頑張っていれば、こういう記事をたくさん書いても大丈夫なんでしょうね。

投稿: メディアウォッチャー | 2008年6月15日 (日) 20時48分

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