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2008年6月11日 (水)

堂々たる政治

Doudoutaruseiji 「堂々たる政治」(与謝野馨著、新潮新書、680円)を読了。

帯に「耳障りなことを言う。それが私の仕事である」と大きく書いてありますが、本書の随所にそれが表れています。

安倍総理辞任時の裏話や生い立ち、中曽根元総理に見出されたエピソードなども興味深いですが、本書で読み応えがあるのは、第6章「国家は割り勘である」と第7章「霞が関埋蔵金伝説と「上げ潮」路線」のあたりでしょう。

与謝野氏は、国家は国民が割り勘で運営している組織であり、国に負担を求めるのであればそれは結局、割り勘している国民が負担せざるをえないと説明します。

よく財政の無駄を省けば財政再建が可能という主張を聞きますが、与謝野氏は、日本の役人の数は諸外国の中でも最も少ないことをひきつつ、国の財政赤字はもはや無駄を省けば何とかなるというレベルではなく、消費税の10%への引き上げなど、割り勘の額を増やさなくてはならないと主張します。

そして、それは誰もがわかっているが、選挙があるので誰も言わないのが問題だ、とし、一方で経済成長率を上げることで財政赤字は解消可能だとする上げ潮派については、経済成長率をあげる具体的方策を持ち合わせておらず、夢ばかりふりまいていると批判しています。

このあたりの財政再建派と上げ潮派の政策論争は、「経済財政戦記」でも詳細にとりあげられているのですが、当事者の言葉で語られているのを読むと一層関心をそそられます。

また、次の箇所も印象に残りました。

安倍政権の時から、「消えた年金」が大きな政治問題に浮上している。事務的に年金の帳簿付けがうまくいっていなかったなどというのは、みっともない話で、社会保険庁がたるんでいるとしか言えない。つまり、帳簿をきちんとつけていない会計係がいたということだ。

ただし、これは年金制度の持続可能性とは全く関係のない話である。ところが、これがあたかも年金問題の本質として議論されているのは滑稽である。そのことをよく考えて政治をしないといけない

家計でいうと、帳簿の付け方の問題ばかり追求しているようなものである。これでは年金の持続可能性ということとかけ離れたところで議論が行われてしまう。社会保険庁の怠慢さは論外だが、それと年金制度の維持の問題とはスケールが違いすぎるのだ。

これと同じことが最近の「居酒屋タクシー問題」にも言えるのではないでしょうか。

マスコミは連日のように大きくとりあげ、先日もあるニュースキャスターが「こんなことでは国民は財政再建なんていったって納得しませんよ」というようなコメントをしていましたが、公務員がタクシーの中でビールやおつまみをもらっていたことと、毎年30兆円の赤字を出している財政問題とでは、国民生活に与える影響のスケールが違いすぎるわけで、マスコミも政治家もそのあたりに留意していただきたいところです。

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コメント

ユリウス蛙猿さん、コメントありがとうございます。
ご指摘の点、全くそのとおりだと思います。政治やマスコミの目線が低いということは、国民の目線も低いとみられているということでもあり、結局われわれが彼らのパフォーマンスや報道振りをどう評価するか、というところに帰ってくるのでしょうね。

投稿: participant | 2008年6月13日 (金) 00時29分

全くご賢察の通りだと思います。居酒屋タクシー問題は新聞の3面記事の一コラム程度の話のような気がします。政治家もメディアも目線が低く見えてしまいます。
同じレベルで言えば、国会議員が国会の直前に提出する質問一つに対し、夜中まで対応に追われる官僚の残業代などが全日本でいくらかかっているかを試算してみても良いかもしれません。また失われた機会費用も大きいです。皆が重箱の隅をつつき合っているうちに乗っている船の傾きに気付かないのは怖いです。

投稿: ユリウス蛙猿 | 2008年6月11日 (水) 23時46分

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