« 帯状疱疹 | トップページ | 石垣島に行ってきました »

2008年8月16日 (土)

ODA、環境配慮は十分?

8月15日付朝日新聞に「ODA、環境配慮は十分?」と題して、新JICAの環境ガイドラインに関する記事がありました(asparaクラブの会員はこちらからみれます)。

記事の概要は以下のとおりです。

  • 援助でも環境アセスメントは重要
  • でも日本のODAでは工事の着手後に問題が生じることが多い
  • 問題は、開発前の調査や工事の責任、アセスメントの責任が相手国政府にあること
  • 現在、策定中の新JICAの「環境ガイドライン」」では、環境アセスが適切に行われたかをチェックする第三者機関である「審査会」を設けることをNGOらが主張
  • JBICは、「動きが鈍くなっては国際機関としての信頼にかかわる」とし、内部審査で十分と主張。
  • 透明性と迅速性のバランスがポイント

コメントをいくつか。

1.迅速性について

 迅速性、というと漠然としてますが、要するに、援助の開始が遅れれば、それだけ開発効果が現れるのが遅れる、ということです。

 途上国では、下痢などによる感染症で乳幼児が死亡することが多いですが、たとえば上水道事業が上記の審査会などで「水源に希少生物がいるから調査が必要」などといってその開始が1年遅れれば、その1年の遅れの間にもきれいな水が飲めず、病気になったり死んだりする子供がいるということです。

2.バランス

 なので、開発効果と環境保全のバランスが大事だということなのですが、このバランスについてコンセンサスはありません。

 開発事業が遅れて、貧困がその間持続しようが、環境保全のほうが大事、という人もいるでしょうし、極端な例では「途上国の伝統的生活様式を破壊するな」という主張で援助に反対する人も存在すると思われます。

 環境ではありませんが、ある文化関連の国際機関職員との面談で、その人が某最貧国の世界遺産に指定されている市街地に、あとから建てられた学校や住居について、「これも違法建築、これも違法建築です」と、敵意を込めて指摘しているのを聞いて、「この人は今生きている人たちの福利厚生よりも遺産保護のほうが重要なのだ」と驚いたことがあります。

 なお、環境運動が貧困問題に与えた影響を考える上で、「貧困悪化に貢献するNGOたちは必読です。

3.途上国の環境アセスは信頼できないか

 このあたりはよくわからないのですが、世界の流れ的には、なるべく相手国の法制度を尊重し、ドナーがああだこうだ言わないようにしよう、ということになっています。

 もちろん、ああだこうだ言わないようにする前に、当該法制度がきちんと整備され、機能されているかを審査します。

 途上国といってもいろいろで、数年後にはEUに入るかもしれない東欧の国々や、トルコやモロッコ、チュニジアといった国々では先進国並みの環境法制が整備されており、そのプロセスの上にさらに審査会を設けるというのは屋上屋を架す感があります。

 そもそも、審査会は専門家で構成される、とありますが、何十もある途上国の環境法制と環境問題をカバーする専門家が日本にいるのか、という疑問もあります。一番詳しいのは被援助国自らであって、その国のプロセスを正式に経たものを、日本にいる大学の先生やNGOがああでもない、こうでもないと議論するのもなんだかなあ、と。

 「審査会がなければODAが不透明になる」とNGOは主張していますが、透明性の確保であれば、環境アセスメントや審査結果の公表という別の手段もあるのではないかと。

|

« 帯状疱疹 | トップページ | 石垣島に行ってきました »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ODA、環境配慮は十分?:

« 帯状疱疹 | トップページ | 石垣島に行ってきました »