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2008年8月 1日 (金)

格差はつくられた

Krugmann 「ルポ 貧困大国アメリカ」を読んで、なぜアメリカではこのような不平等があっても共和党が2期にわたって政権をとっているのだろう、という疑問をもったので、ポール・クルーグマンの「格差はつくられた」を読みました。

「格差はつくられた」のおもな主張は、以下に要約できます。

  • 所得格差の拡大は、よくグローバリゼーションとIT化によってもたらされたと主張されるものの、同様の環境にあるヨーロッパ諸国や日本ではアメリカほどの格差の拡大はみられない。真の理由は、ブッシュ政権の経済政策にある。
  • ブッシュ政権の唱える新自由主義は、小さな政府と民営化の推進し、政府のもつ所得再配分機能を弱める。社会福祉政策や貧困層に対するセーフティネットの受益者は、黒人やヒスパニック層であるため、社会福祉的な政策に反対することは、共和党の支持層である白人層の人種差別意識に訴えかけることになり、それゆえ支持されてきた。
  • しかし、近年では白人層の人種差別意識が薄れており、また、人種構成も黒人、ヒスパニックが多くなっているため、次に民主党政権ができれば国民皆保険などの制度整備が可能となる。

白人層の潜在的な人種差別意識に働きかけるという主張は、いささかショッキングで、アメリカに住んだことのない私には本当なのかどうか判断することは難しいですが、説明としては筋が通っています。

また、クルーグマンは民主党の支持者ですが、オバマ氏が民主党の指名をえられるかどうかわからない段階で書かれたものとは思えないほど、同氏が「変革」を掲げて支持を集めていく理由を言い当てています。

翻訳の過程で、日本の読者になじみのない部分は割愛した、ということで、それが原因で内容が平板になっているような印象もある点は残念ですが、「ルポ 貧困大国アメリカ」を読んだ方でより詳しくその背景を知りたい人にはお勧めだと思います。

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