« 冬の喝采 | トップページ | ラフィアン不振の原因は? »

2008年11月17日 (月)

西山牧場のダーレーへの売却について

我が国の一大オーナーブリーダーである西山牧場のダーレーへの売却は、インパクトのあるニュースでした。その昔、「競馬報知」誌上で西山氏の連載を楽しみにしていた者としては隔世の感があります。

ところで、この件に関連して、西山牧場の種牡馬導入の失敗を遠因として触れる記事が多いようです。

だが、その後は相次ぐ導入種牡馬の失敗などで次第に成績が落ち込み、90年代に入ると繁殖牝馬を削減して少数精鋭方式に方針転換。それでも、目立った成果は挙げられずに昨年はリーディング17位まで順位を下げていた(今年度は現在13位)。
(スポーツ報知)

また、愛読している馬券日記オケラセラさんでも、下記のように記されています。

西山牧場の大きな痛手のひとつとなったのは種牡馬事業の失敗だろう。スターアッフェアー、シェルシュールドール、シャンペンチャーリー、マラキム、ケラチ…。どれも一癖ある血統で成功すれば面白いのだろうが、ほとんど産駒は期待に応えられなかった。

たしかにこれらの種牡馬が成功したということはなかったと思います。

が、もともと種牡馬なんて外れるのが当たり前で、外れ種牡馬ばかり導入していてもなりたっているスタッドもあります。

西山牧場の種牡馬は、その産駒のほとんどが西山牧場産であり、いわば自家用種牡馬であったことが特徴で、その点で他の牧場の「種牡馬事業」とは異なります。

今から15年ぐらい前ですが、ある種牡馬が繋養されている牧場で「○○の子供は○○に続く活躍馬が出てほしいですね」と言ったところ、「うん、でももう既にデビュー前に種付け料収入でもとはとったから。」という回答が返ってきました。その時、なるほど、これが種牡馬「事業」なんだと関心した記憶があります。

そもそもオーナーブリーダーで生計を立てていくというのは至難の業です。2007年の中央競馬の種牡馬成績表をみると、1頭あたりの平均獲得賞金が大体660万円あたりでアーニングインデックスが1.0になります。ちなみにEIが1.0前後の種牡馬は、クロフネやアドマイヤベガ、グラスワンダー、フォーティナイナーといったところです。

660万円。1年間、1頭の馬を中央の厩舎に預けた場合の預託料は700万円以上するでしょうから、平均的な種牡馬の産駒だけ集めたとしても、預託料にもならないわけです。

結局、競馬というのは馬券でも馬主でも長期的には「お金は溶けていく」もので、夢を追い求める人々の資金の流入がなければ持続可能なものではありません。

社台が隆盛を誇っているのも、もちろんトニービンやサンデーサイレンスの成功があったからですが、その成功をもとにより多くの生産者や馬主のお金を種付料や馬の購入代金として引き付けることができたからです。

西山牧場の種牡馬も、シェリフズスターあたりはTargetによれば中央に登録した70頭弱の中から1億円ホースを2頭(セイウンスカイ、セイウンエリア)出したのですから、ポテンシャルのあった馬と言えるかもしれません。ただ、西山牧場はそれを種牡馬「事業」として外部からの資金流入を図ろうとはしなかったわけです。

なので、西山牧場売却の原因は西山牧場のスタイルにあったわけで、種牡馬自身に求めるのはちょっと酷なように感じます。

仮にアグネスタキオン級の馬を導入できていたとしても、自家用種牡馬としてだけ繋養していれば、長期的な成功は難しかったでしょう。アグネスタキオンといえども、1頭あたりの平均獲得賞金は1,140万円にしかならないのですから…。

|

« 冬の喝采 | トップページ | ラフィアン不振の原因は? »

「競馬」カテゴリの記事

コメント

ガトー様
オケラセラ、いつも楽しく拝見しております。競馬に関する幅広い考察や臨場感あふれる凱旋門賞の観戦記など、私も常にあのような有益な記事を書きたいなあと思っています。
西山牧場の種牡馬の件は、特にシェリフズスターなんかはもっとチャンスが与えられればなあ、と当時思ったものです。西山牧場はなくなりましたが、個性的な血統背景をもつ「ブランド」、「セイウン」、「ニシノ」の馬たちには引き続き競馬を盛り上げてほしいですね。
なお、当初エントリした際にトラックバックしていなかった件、すみませんでした。
今後とも宜しくお願いいたします。

投稿: participant | 2008年11月19日 (水) 08時05分

ご指摘、トラバ、ありがとうございました。鋭い視点からのエントリー、大変に参考になりました。今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: ガトー@馬耳東風 | 2008年11月18日 (火) 22時28分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/9308/25398892

この記事へのトラックバック一覧です: 西山牧場のダーレーへの売却について:

» 西山牧場がダーレーに売却 経営方針転換も再建ならず [馬券日記 オケラセラ]
12日、スポーツ報知が伝えたところによると、名門ファームである西山牧場がダーレージャパンファームに売却されていたことが明らかになった。売却されたのは牧場の400ヘクタールの土地や厩舎などの建物で、種牡... [続きを読む]

受信: 2008年11月18日 (火) 01時03分

» [競馬]2008年11月18日競馬ヘッドライン [昨日の風はどんなのだっけ?]
競馬ニュース - netkeiba.com |日本ダービーなど、09年に外国馬開放へ 競馬ニュース - netkeiba.com |ダート重賞「レパードS」を新設 既報通りに、G外の3歳新重賞親新設と、2009年にほとんどの重賞、2010年にクラシックが開放へ。でも段階踏む必要性もあんまり感じないけど... [続きを読む]

受信: 2008年11月24日 (月) 01時48分

« 冬の喝采 | トップページ | ラフィアン不振の原因は? »