イースタリーのボトム・ビリオン書評
こちらにウィリアム・イースタリー教授の「ボトム・ビリオン」(ポール・コリアー著)の書評が載っています。
ボトム・ビリオンでは、サブサハラアフリカ諸国を中心とする「最底辺の10億人」に分類される国では、紛争やクーデターが頻発することによって国の発展が妨げられる紛争の罠にとらわれており、その解決策として、海外からの一定期間(場合により10年以上)の軍事介入を挙げています。
実際、開発援助の世界でも平和維持や復興支援の分野で、軍との協力が議論され、国によっては実際のオペレーションにも反映されている例があります。
この点について、イースタリーは、以下のように述べ、軍事介入と開発援助のコラボレーション(援軍複合体、とも言っています)は慎重になるべきとしています。
- コリアーは紛争の罠の存在を統計的手法によって導き出しているが、その手法は、「選択バイアス」や「因果関係と相関関係の取り違え」といった欠陥があり、それに基づいて軍事介入のような政策決定ができるほどファームなものではない。
- 軍事介入には成功例もあるが、かえって紛争を激化させたり、より多くの市民に被害を拡大させる例もある。
- コリアーは政治的に中立な軍事介入を想定しているが、そうした軍隊や介入は実際には存在しない。
- 軍が援助活動を行うことにより「軍事行動」と「援助活動」が一体と見なされ、人道的援助関係者であっても攻撃対象とされる。これは実際にアフガニスタンやソマリアで起きている。
先日、アフガニスタンへの自衛隊派遣についての国会審議で参考人招致されたJICA職員が援助活動の観点から、地上部隊の派遣について慎重な意見を述べており、日本政府としては地上部隊派遣にドライブがかかっていると思い込んでいた私は「あれ」と思ったのですが、これは援助機関の立場からの識見だったのだと納得しました。
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