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2009年2月 8日 (日)

人は意外に合理的

The_logic_of_life 「人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く」(ティム・ハーフォード著、遠藤真美訳、ランダムハウス講談社、1,800円、税別)を読みました。

原題はThe Logic of Life。訳すれば「日常生活に潜むロジック」といった具合でしょうか。

人は意外に合理的、というタイトルからは行動経済学の本を連想させるので、原題をそのまま生かした方がよかったかもしれません。

本書は、行動経済学にも触れていますが、ゲーム理論やランダム化比較調査などの応用例を紹介しながら、なぜ都会の独身者には結婚相手が見つからないのか、都市にはなぜ独身男性よりも独身女性のほうが多いのか、居住区によって人種構成が異なるのはどうしてか、少数の利益団体が政治を牛耳るのはなぜか、といった問題について解きほぐしていきます。

ハーフォードの文章は、軽快すぎて脱線することもあるのでときどき迷子になりますが(特に経済学のなじみのない読者にはとっつきにくいかもしれません)、「なるほど!」といいたくなる部分が多く、2度読み返してしまいました。

ところで、本書の第7章「ギザギザ化する社会」では、ニューヨークは物価が高く、同市での1ドルは実質61セントの価値しかない一方、賃金は全米平均より15%しか多くないのに人々がニューヨークに集まってくるのはなぜか、それは都市にはイノヴァティヴな人たちが集まり、知識が集約されるという外部性が存在するからだ、ということが指摘されています。

ところが、ロンドンやニューヨークでは郊外に新しい住居の新設を妨げる規制(ゾーニング規制やグリーンベルト政策)が存在しているために集積が阻害されているそうです。

この点、東京はどうでしょうか。

東京ももはや飽和状態に思えますが、世界でも例をみない都市・近郊鉄道ネットワークによって、さらに集積が可能なように思います。実際、私は毎日40km超の距離を通勤していますが、ロンドンやパリでこんな遠距離を通勤している人はあまりいません。

ちなみにパリから40kmというとシャンティイに行けてしまいますが、完全な田園地帯です。

ハーフォードは、都市は環境に優しく(一人当たりの汚染量は最も少ない。都市には車を保有しない人が多い一方、田舎に行くと2台以上もっているのが珍しくない)、イノベーションと経済成長の基本となり、さらに将来も役割の重要性が増す、としていますが、この観点からは、都市の成長を促す運輸インフラや上水道、下水道などの社会インフラの重要性は、経済全体の成長センターを支えるものとして、もっと注目が集まっても良いのかもしれません。

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