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2009年2月10日 (火)

アダム・スミス

Adam_smith 評判になっている「アダム・スミス」(堂目卓生著、中公新書)を読みました。

学生のころ、西洋経済史や経済学史が好きだったので、少し懐かしい気持ちで読みました。

「国富論」だけでなく、スミスはこっちも書いていた、と常に紹介されるがその中身には触れられない「道徳感情論」についてかなりの紙幅を割き、2つの書物をセットにしてスミスの思想を分かりやすく解説しているのが本書の特徴ですが、良く知っているはずの「国富論」のところでも「そうだったのか」と思うような発見があります。

本書の「いいたいこと」は次のパラグラフに要約されていると思います。

以上のメッセージによって形成されるスミスのイメージは、従来のイメージ、すなわち、規制を撤廃し、利己心にもとづいた競争を促進することによって、高い成長率を実現し、豊かで強い国を作るべきだと主張するスミスのイメージとは異なったものだといえるだろう。

序章で示したように、スミスが生きた時代は光と闇が交錯する時代であった。経済の発展、技術の革新、知識の進歩と普及という文明の光があふれる一方、その光は、格差と貧困、戦争と財政難という闇によって弱められていた。その中で、スミスは光に熱狂することなく、また、闇に絶望することなく、冷静に現実に取り組んだ。

しかし、スミスの冷静な態度の背後には、人類の存続と繁栄を願う強い情熱が感じられる。スミスは、到達すべき理想を示しながら、今できることと、そうでないこととを見きわめ、今できることの中に真の希望を見出そうとした。「国富論」が普及の名声を得ることができたのは、多くの読者が、そこに市場経済に関する斬新な理論を見出しただけではなく、スミスのバランスのとれた情熱と冷静さを感じとり、それに同感したためであろう
(終章 スミスの遺産 P277 強調は引用者)

スミスの情熱と冷静さを感じ取りたい人は、ぜひ読まれるとよいと思います。

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