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2009年5月 4日 (月)

国をつくるという仕事

Nishimizu スケジュールを無視して寄り道し、その寄り道した先で出てきた関係者を叱り飛ばす。

あるいは、他社がやった仕事だから対応しませんでした、という部下に対して、そんなことでいいのか、と涙を流しながら怒りまくる。

そんな上司がいたら仕える方は本当に大変だと思いますが、世銀の西水美恵子元副総裁は、「国をつくるという仕事」(西水美恵子著、英治出版、1,800円+税)を読む限り、まさにそんな感じの上司です。

しかし、その怒りは目の前の貧困や、それをかえりみず私利私欲のみを追求している現地の為政者に向けられたものであり、その怒りがピュアで恐れを知らないので、それを読むものを感動させます。

 それ以来、どこに旅しても頻繁に、あわてる同行の役人たちをなだめすかしては飛び入り訪問のわがままをさせてもらった。普通、途上国の教師たちは田舎の学校が大嫌い。大枚を積んでまで政治家に取り入って、都会に転勤してしまう。(略)事前通告なしの視察をするたびに見た、来ない先生を辛抱強く待つ幼い顔は、教育制度改革なしには援助融資拒否という姿勢を保つ原動力となった。

 スリランカの辺鄙な村では、もう一つ気も待っているのとこらえきれずに泣きだした小学一年生の教室で、じゃあ今日だけでもと臨時英語教師になりすましたこともあった。ABCを歌い、童話を読み、感想文の発表会をし、楽しい一日を過ごさせてもらった。

 それを「変事」と聞いて飛んできた、土地の政治家のあわてた顔に、堪忍袋の緒が切れた。明日も来てとすがりつく子どもたちの前で、私腹を肥やすより国の将来を思え、君はそれでも政治家か、人の親か、と激怒した。「先生ありがとう、もういいから」と、一生懸命なだめてくれたあの子たちの澄んだ瞳を忘れることなど出来やしない。

援助機関の職員は、たいてい相手国とのコートシーを気にしてここまで言うことは滅多にありませんが、西水元副総裁の場合は、土地の政治家はおろか、大統領や首相といったトップにも遠慮なく直言します。草の根の視点を忘れない点といい、感じるところの多い本でした。

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