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2010年5月 4日 (火)

「ジャパン」はなぜ負けるのか

Why_japan_lose 「「ジャパン」はなぜ負けるのか 経済学が解明するサッカーの不条理」(サイモン・クーパー、ステファン・シマンスキー著、森田浩之訳、NHK出版、2000円+税)を読みました。

いやあ、これは面白い。

マネー・ボール」のサッカー版といった趣ですが、取り上げているトピックの話題が幅広く、結構分厚い本ですが、すぐ読み終わってしまいました。統計から我々が持っている常識を覆すプロセスは非常に面白いです。まあ、私がこういう類の本が好きというのもありますが。

サッカーの国際試合における得失点差は、統計の「重回帰分析」をしてみると「国際試合の経験数」、「国の人口」、「所得水準」の3つの「リソース」と相関があるそうです。それを日本に当てはめてみると、日本は人口、所得水準でアドバンテージがある一方、国際試合の経験数でハンディを負っている(欧州の国は700試合以上の経験があるのに対し、日本は341試合)そうです。

重回帰分析の結果は、日本は1試合あたりの平均で対戦相手を0.75ゴール上回っていておかしくないということなのですが、実際の結果(1980年~2001年)の実際の戦績をみると0.56ゴールしか上回っていない。統計分析からは、持っているリソースから判断して日本はもっとやれてよいはず、ことになります。

では、日本代表が成績を上げるにはどうしたらよいか。

著者は、日本が現在サッカーの先進地域である西ヨーロッパ(ワールドカップの優勝国も多くがこの地域から出ていて、ブラジルでさえも西ヨーロッパのサッカースタイルを取り入れようとしている)のネットワークから地理的に離れていることをハンデとして挙げます。

そして韓国やオーストラリア、トルコ、ギリシアが西ヨーロッパ出身の指導者を招き入れることによって、それまでのサッカースタイルを変え、それが躍進につながったことを述べています。

日本代表が決定力不足であることの原因を日本の国民性に求める論調についても、別に日本が特殊なわけではなくて、トルコやギリシャにも特殊性はあったが、それは克服可能であることはこうした国々が証明済で、そうすればサッカーの周辺国であった日本が他のサッカー新興国(人口が大きく、所得水準も一定水準をクリアしている)オーストラリアやロシア、やがては中国とともにトップクラスの国になる可能性がある、ということが書いてあります。

私はサッカーには詳しくないので、この主張が正しいのかどうか(西ヨーロッパの指導者を招けば強くなる?)はわからないのですが、韓国やトルコ、ギリシャの例を挙げられると、ふうむ、と思ってしまいます。

あと印象に残ったのは、ワールドカップや欧州選手権が開催され、それに代表チームが参加した年は、各国とも自殺者の数が減っているという統計。これは、チームの活躍とはあまり関係なく(すぐ敗退したからといって自殺者は増えない)、著者たちは、代表が出場することで人々は「帰属意識」や「周囲との一体感」を持ち、それが命を救っていると分析しています。

本書では、自殺者とワールドカップへの代表チームへの出場にかかるデータはないのですが、今年の日本ではどうでしょうか。日本をひとつにするような活躍を日本チームがしてくれることを期待したいと思います。

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コメント

メッセージをありがとうございます。
優勝が決まった時はすごい田舎に
滞在していたのですが、それでもやはり
みんな盛り上がっていました。
大会中は顔にトリコロールのペインティングを
してもらってナントカ広場の特設会場で試合を見たり、
なかなか楽しかったです。

オリンピックなどでも開催国の選手は
活躍するような印象があります。統計的な
資料は持っていないのですが。。。
やはりホームでは力が出るのかもしれませんね。

確かに、バルカン諸国もサッカーが強いですね。
アルバニアにいる時も、アルバニア代表と
どこかのヨーロッパの国の試合をやっていて、
ティラナ市内がものすごく盛り上がっていました。
…そんな光景を見たことがあるなんて、
すごく貴重ですね。

セルビア代表はW杯にも出場するので、
応援したいと思います。

投稿: O2 | 2010年5月 6日 (木) 12時15分

O2さん、こんにちは。
フランス大会のときにフランスにおられたのですか。100万人がシャンゼリゼに繰り出したあの大会ですよね。それはなんと幸運な…。

ちなみにホームでの試合は、重回帰分析の結果、約3分の2点のハンデをもらうのと等しいそうです。フランスがフランス大会で優勝したのも、このことと関係がありそうですね。

日本もベルゲンやトルシエ、オシムといった監督の薫陶を受けていますし、欧州でプレーしている選手もいるのでそのうち地理的な不利(欧州のネットワークから隔絶されている)を克服する日が来るといいですね。

ちなみに、「人口」、「所得」、「国際試合の経験」の3要素でみた場合、統計上導き出される得失点差と比べて実際の成績がいい地域として、「ユーゴスラビア」(セルビア・モンテネグロ)が2番目に挙げられていました。クロアチア、アルバニアもいい位置につけています。確かにあの地域のサッカーの強さは人口比でみると異常値ですが、我らが(?)バルカン半島が強いというのはなんだか嬉しいデータでした。

投稿: participant | 2010年5月 4日 (火) 23時57分

こんにちは。
お忙しいのにたくさん本を読んでおられますね!

私は1998年にフランスにいました。フランス語の
勉強をしていた(ということになっています)の
ですが、ちょうどフランスでW杯が開催されてフランスが
優勝した年だったんです。
テレビ観戦がほとんどでしたが、たくさんサッカーを
観ました。
戦術など難しいことはわかりませんが、欧州の
サッカーは「面白い」けれど、それに比べて日本の
サッカーは「面白くない」とは思うようになりました。

サッカーの得失点差について、統計学から
分析を行うというのは面白いですね。
確かに場数を踏んだり、欧州の指導者(…トルシエ?)に学んだら、
今よりは魅せるサッカーができるように
なる気が、シロウトながらします(o^-^o)

国際試合で自分の国の選手の活躍を見るのは
勇気をもらえますよね。
勝ち進むのは難しいかもしれませんが、
記憶に残る試合がたくさん観られることを期待します。

投稿: O2 | 2010年5月 4日 (火) 18時46分

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