« サンベルナール、ありがとう。 | トップページ | 1頭交わせば掲示板 »

2011年5月 4日 (水)

人はなぜテロリストになるのか

Photo 国際テロ組織「アルカイダ」の首謀者、オサマ・ビン・ラディン容疑者が米軍により殺害されました。

これによって各地のテロがすぐに無くなるものではないでしょうが(「これで安堵した」とインタビューに答える米市民の心情はわからなくもありませんが、お気楽な印象は否めません)、他方、今年に入ってからの「アラブの春」の影響を受けてテロに傾倒していく層というのは、減少していくように思われます。

「テロの経済学 人はなぜテロリストになるのか」(アラン・B・クルーガー著、藪下史郎訳、東洋経済新報社、2000円)という本があります。

この本の主張は、テロは貧困が生む、とよく言われるけれども、実証データはそうした通説を裏付けていない、というものです。

実証データから明らかになったテロに関する事実とは、以下の通りです(本書の内表紙より)。

  1. テロリストは十分教育を受けており、裕福な家庭の出である傾向がある。
  2. 社会で最高の教育を受けている人や高所得の職業についている人の方が社会的に最も恵まれない人たちよりも過激な意見を持ち、かつテロリズムを支持する傾向がある。
  3. 国際テロリストは、貧しい国よりも中所得国の出身である傾向が強い。
  4. 市民的自由と政治的権利が抑圧されているとテロに走りやすい。

その上で、本書では「テロは、犯罪行動よりもむしろ投票行動に似ている。」としています。

今年に入りチュニジアのジャスミン革命から各国に飛び火したアラブ世界の民主化の動きにより、上記の4.にある「市民的自由と政治的権利が抑圧されている」状況に変化が見られます。

政治的に声をあげたければ、Facebookを使ったり、街頭でデモを行ったり、独裁政権が倒れたチュニジアやエジプトでは投票によって自分の政治的意思がテロ以外の方法で表明できるようになったのです。

中東地域の民主化プロセスはまだ途上ですが、この民主化プロセスがうまく軌道に乗るのか、人々の「権利をはく奪されている」という意識を変えるものになりえるかどうか、そしてそれがテロといった過激な行動を抑制するかどうかについて、注目したいと思います。

|

« サンベルナール、ありがとう。 | トップページ | 1頭交わせば掲示板 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 人はなぜテロリストになるのか:

« サンベルナール、ありがとう。 | トップページ | 1頭交わせば掲示板 »