スポーツ

2010年5月 6日 (木)

ファンの獲得

20100501113844 先日、紹介した「ジャパンはなぜ負けるのか」では、サッカーファンについても一章が設けられています。

それによると、通常ファンは、「小学校低学年の頃にファンになったら、チームがいかに不出来であろうと、一生そのチームを応援し続ける」というイメージを持たれていますが、実際にデータをみると、ファンは思われているよりも流動的で、「ファン」というよりも「消費者」に近い(つまり移り気)ということが言われています。

これはイギリスでの話ですが、日本でもファンというものはそういうものだと思われているので、この分析は結構面白かったです。

かくいう私は、小学校低学年の時に兵庫県西宮市に住んでいたので、中学生以降、海外赴任の数年間を除いて20年以上横浜に住んでいますが、今も「阪神タイガース」のファンです。

なるほど、ファンは移り気というのは事実だと思いますが、他方において、「三つ子の魂百までも」というように、小学校低学年の頃に「好きになったチーム」というものはなかなか変えられないというのも一面の真実かと思います。

5月1日、子供が所属しているサッカークラブが、横浜F・マリノスの企画で、ジュビロ磐田戦の「前座試合」として、日産スタジアムでプレーし、子供はそのままスタジアムでジュビロ磐田戦のチケットをもらえるというイベントに当選しました。

小学校のサッカークラブは、高学年(5・6年生、L)、中学年(3・4年生、LL)、低学年(1・2年生、SL)と3つに分けられていますが、招待されたのは3・4年生のLLチームでした。

なるほど、この年代の頃にひいきチームを見つけた子供は、一生そのチームを応援し続けるでしょうから、マーケティング戦略としては有効そうです。

一応、うちの子供も、試合前のウォームアップをすぐ真横で見られたり、さらに試合でマリノスが勝ったこともあり、家に帰ってきてからも「オー、Fマリノース、マリノース、マリノース、F・マリノース」と歌っていて、狙いは当たったようです

実を言うと、子供よりも私の方が結構やられてしまい(笑)、思わず、家に帰ってきてから横浜F・マリノスの公式サイトや、スカパーのJリーグパックのHPを見たりしています。子供と同時に親も狙え、というのも先方のマーケティング戦略なんでしょうね。まんまとはまってしまいました。

もうすぐワールドカップということもあり、そのタイミングで「ジャパンは…」を読んだことで、プチサッカーブームが我が家に訪れつつある気配です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月 4日 (火)

「ジャパン」はなぜ負けるのか

Why_japan_lose 「「ジャパン」はなぜ負けるのか 経済学が解明するサッカーの不条理」(サイモン・クーパー、ステファン・シマンスキー著、森田浩之訳、NHK出版、2000円+税)を読みました。

いやあ、これは面白い。

マネー・ボール」のサッカー版といった趣ですが、取り上げているトピックの話題が幅広く、結構分厚い本ですが、すぐ読み終わってしまいました。統計から我々が持っている常識を覆すプロセスは非常に面白いです。まあ、私がこういう類の本が好きというのもありますが。

サッカーの国際試合における得失点差は、統計の「重回帰分析」をしてみると「国際試合の経験数」、「国の人口」、「所得水準」の3つの「リソース」と相関があるそうです。それを日本に当てはめてみると、日本は人口、所得水準でアドバンテージがある一方、国際試合の経験数でハンディを負っている(欧州の国は700試合以上の経験があるのに対し、日本は341試合)そうです。

重回帰分析の結果は、日本は1試合あたりの平均で対戦相手を0.75ゴール上回っていておかしくないということなのですが、実際の結果(1980年~2001年)の実際の戦績をみると0.56ゴールしか上回っていない。統計分析からは、持っているリソースから判断して日本はもっとやれてよいはず、ことになります。

では、日本代表が成績を上げるにはどうしたらよいか。

著者は、日本が現在サッカーの先進地域である西ヨーロッパ(ワールドカップの優勝国も多くがこの地域から出ていて、ブラジルでさえも西ヨーロッパのサッカースタイルを取り入れようとしている)のネットワークから地理的に離れていることをハンデとして挙げます。

そして韓国やオーストラリア、トルコ、ギリシアが西ヨーロッパ出身の指導者を招き入れることによって、それまでのサッカースタイルを変え、それが躍進につながったことを述べています。

日本代表が決定力不足であることの原因を日本の国民性に求める論調についても、別に日本が特殊なわけではなくて、トルコやギリシャにも特殊性はあったが、それは克服可能であることはこうした国々が証明済で、そうすればサッカーの周辺国であった日本が他のサッカー新興国(人口が大きく、所得水準も一定水準をクリアしている)オーストラリアやロシア、やがては中国とともにトップクラスの国になる可能性がある、ということが書いてあります。

私はサッカーには詳しくないので、この主張が正しいのかどうか(西ヨーロッパの指導者を招けば強くなる?)はわからないのですが、韓国やトルコ、ギリシャの例を挙げられると、ふうむ、と思ってしまいます。

あと印象に残ったのは、ワールドカップや欧州選手権が開催され、それに代表チームが参加した年は、各国とも自殺者の数が減っているという統計。これは、チームの活躍とはあまり関係なく(すぐ敗退したからといって自殺者は増えない)、著者たちは、代表が出場することで人々は「帰属意識」や「周囲との一体感」を持ち、それが命を救っていると分析しています。

本書では、自殺者とワールドカップへの代表チームへの出場にかかるデータはないのですが、今年の日本ではどうでしょうか。日本をひとつにするような活躍を日本チームがしてくれることを期待したいと思います。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2006年8月 7日 (月)

モーリスドゲスト賞

Deauville_007 ふと思い立ってドーヴィル競馬場に行って来ました。パリからドーヴィルまでは200kmありますが、高速道路を使えば2時間で着きます。12時にパリを出て2時すぎにはドーヴィルの競馬場につくのですから便利なものです。

昨日はモーリスドゲスト賞(モーリスドギース賞と呼ばれていますが、場内アナウンスではモーリスドゲストと言っているように聞こえました)があることは知っていましたが、武豊騎手が遠征に来ていることは、競馬場でレーシングプログラムを見て初めて知り、得をした気分です。

Deauville_042 そのモーリスドゲスト賞はボニヤ騎乗のマーシャンドオール(Marchand D'Or)がゴール前一頭だけ違う脚色で抜け出し快勝。武豊騎乗のリンガリ(Linngari)は好位でレースを進めましたが最後の伸びを欠き6着でした。写真のオレンジ色の勝負服がマーシャンドオール、その後ろの「エイシン」のような勝負服が武騎手です。

Deauville_010 ドーヴィル競馬場には初めて行きましたが、概ねフラットなコースで芝コースの内側にオールウェザーのコースがあり、日本の競馬場に似ています。スタンドは新しく改装されていますが、私がこれまでみたスタンドの中で最も小さいものでした。

ただし今日は駐車場もほぼ満杯状態で大変な賑わいでした。家族連れが多いのですが、パドック内には向こう側の馬が見えないぐらい関係者が入っていて、なるほどパリの社交界が引っ越してきているという様子がうかがえます。Deauville_009

こんな感じ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月 6日 (日)

凱旋門賞ツアー

Hippodrome_longchamp_057_1 ユニオンの会報の亀和田武さんのエッセイにディープインパクトが出走する凱旋門賞の観戦ツアーの話題が載っていました。

それによるとツアーの値段は、最低でも30万1千円(5日間の弾丸観光コース)、ノルマンディーやモンサンミッシェルにも脚を伸ばす8日間コースだと56万3千円だそうです。

結構なお値段ですね。ツアーだから仕方ありませんが、安く上げようとすればこれよりかなり安くすることはできます。

まず航空券は、インターネット経由で大韓航空などの経由便なら8万円台から、エールフランスの直行便でも13万円で買えます。パリのホテルは高いですが、インターネットでBooking.comなどを使って探せば一泊1万円ちょっとのところが見つかるでしょう。そうすれば仮に5泊したところで13万~18万円。

Hippodrome_longchamp_054_1 競馬場まではメトロでいけます。わずか1.3ユーロ。入場料は8ユーロとかそんなものだったと思います。食事代とかいろいろありますが、経由便を使えば15万円もあればOKです。もちろん、パリでの滞在時間を減らせばもっと安くなります。

ちなみに「お金の問題よりも仕事が休めないほうが問題」という方には、エールフランスの「おはようパリ便」(日本の土曜夜に出発してパリに日曜早朝に着く)を使い、日中はロンシャンへ、帰りは同じ日のエールフランスの深夜便(日曜深夜に出発、日本には月曜夕方着)で帰ってくるというプランがあります。

これなら会社を休むのは月曜日だけで済みます。もっとも2日連続機中泊なので、相当キツイと思いますが・・・。

【追記】
この時期は凱旋門賞に限らずパリで各種の催し物があるようで、かなりホテルが取りづらくなっているようですので、個人で来られる方は早めに手配したほうがいいと思います。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2006年8月 1日 (火)

牝馬はどの程度不利なのか

種牡馬別の牡牝の差をエントリしたところ、競走馬全体の牡牝の差はどの程度あるのだろうか?というご質問がありました。

そこでnetkeibaでデータを検索してExcelに貼り付けて調べたところ結果は以下の通り。

現4歳馬     牡     牝 牝/牡
頭数 % 頭数 %
1億円以上 30 1.6% 6 0.5% 28.2%
5000万以上 99 5.4% 37 2.8% 52.6%
1000万以上 717 38.8% 322 24.5% 63.3%
全体頭数 1,848 1,312  
平均獲得賞金 1,448 859 59.3%

現5歳馬     牡     牝 牝/牡
頭数 % 頭数 %
1億円以上 58 3.1% 16 1.3% 40.5%
5000万以上 209 11.3% 60 4.8% 42.1%
1000万以上 760 41.1% 348 27.6% 67.2%
全体 1,652 1,259  
平均獲得賞金 2,214 1,173 53.0%

現6歳馬     牡     牝 牝/牡
頭数 % 頭数 %
1億円以上 87 4.7% 24 2.0% 43.1%
5000万以上 241 13.0% 86 7.3% 55.8%
1000万以上 698 37.8% 368 31.1% 82.4%
全体頭数 1,558 1,182  
平均獲得賞金 2,647 1,503 56.8%

この表から読み取れることは、

  • 平均獲得賞金をみると、牝馬は牡馬の5割~6割程度
  • 獲得賞金別にみると、1000万以上稼ぐ馬の出現確率では牡馬の6割~8割程度だが、5000万以上、1億以上稼ぐ馬の出現確率は2割~5割と上に行けば行くほど牡馬と差がつく(大物が出にくい)。
  • 既に結果が概ね出ていると思われる現6歳世代では、1000万以上獲得した馬は概ね3頭に1頭、ペイラインを超えていると思われる5000万以上で14頭に1頭、1億以上は50頭に1頭の割合。

期待獲得賞金額が平均で牡馬の半分程度、高額な中央の預託料(月額70万)は牡馬も牝馬も同様にかかることを考えれば、同じお金を使うなら牡馬を買いたくなるのも道理というものです。最近の日経野元記者の記事のなかで、牝馬の落札値は牡馬の3割~5割という記載がありましたが、平均獲得賞金の比率よりも落札値の比率は更に低いという事実が牝馬に対する馬主達のシビアな考え方を物語っています。

現状、牝馬のセックスアローワンスは2kgですが、もっと差をつけてもいいのではないでしょうか。賞金全体のパイは変わらなくても牝馬により多くチャンスを与えることで、牝馬の購買需要を増やせば、生産牧場のリスクを軽減することにつながると思うのですが。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年7月19日 (水)

OVNIの特集

OVNIというのはフランスで発行されている無料新聞ですが、この最新号で「フランスで競馬を楽しもう」という記事が掲載されています(インターネット版がこちらでご覧いただけます)。

なかなか読みごたえがあり、かつ有用な情報満載なので、関心のある方はぜひ読んでみてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年7月 8日 (土)

ハートマークの意味は

先日、メゾンラフィットに行った際、競馬場で配布されているプログラムをみていると馬名の横にハートマークがついている馬がいました。

注をみると、どうやら「フケ」が来ている牝馬にこのマークがつくようです。確かに敗因として「フケがきていたから」が挙げられることはままあり、予想ファクターとしては重要なはずで、ペラペラのレーシングプログラム(両面印刷の1枚紙)であってもここまで網羅していることに感心しました。

しかしハートマークとはそのままというかかわいらしいというか。
馬名のすぐ横に書いてあるので、こんな感じになります↓。

サオヒメ♥ 牝4 55kg

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年7月 5日 (水)

ラムターラ帰国

ラムタラがイギリスに帰るというニュースがありました。

誰しも思い出の一頭がいると思いますが、私にとってラムタラこそ「わが青春の馬」でした。青春と言っても当時もう20代半ばでしたが。

丁度イギリスに住んでいる頃で、ダービーの前はセルティックスイングやペニカンプといった馬達が注目を集めていたのですが、ご存知のとおり、無敗、しかも不慮の死を遂げた調教師の家族に同調教師が生前賭けていた配当金をもたらすというエピソード付きで優勝。

その後、カーネギーらを相手にキングジョージで優勝。ダービーは所用があってみられませんでしたが、これはアスコットまで観戦しにいき、ペンタイアとの叩きあいを声の限り応援しました(若かったなあ)。

夏を挟んで凱旋門賞へ。ロンシャンまで行きましたが、私のようなイギリスからの遠征組の期待に応えて見事優勝、無敗の英ダービー、キングジョージ、凱旋門賞の3冠馬の誕生を目の当たりにすることができました。

日本に帰国してから通勤途中に日刊スポーツの見出しに「ラムタラ導入」の文字を見たときはひったくるようにして読んだものです。導入後も北海道まで見に行ったり、思い入れた馬としてはラムタラが一番だったかもしれません。

サンデーサイレンス系全盛の日本では成功しませんでしたが、ヨーロッパであればまだまだわかりません。まだ14歳と若いので、月並みなまとめ方でなんですが、一頭でも多く活躍馬を出してくれることを期待しています。

・・・しかしこのニュースでますますフェイヴァーワンが気になってきたなあ(笑)。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2006年7月 4日 (火)

メゾンラフィット

Maison_laffite_007 日曜日、パリ近郊のメゾンラフィット競馬場に行って来ました。

メゾンラフィット競馬場はパリの北西約20kmのところに位置しています。欧州の競馬場はアップダウンのあるところが多いですが、メゾンラフィットは川のほとりにあるためフラットで、形態としては新潟競馬場に近いでしょうか。かなり長細い楕円形をしており、直線は引込み線を含めて直線1800mのレースができるほどです。

Maison_laffite_005 パドックはこんな感じです。暑い一日でしたが、パドックの木陰が涼しそうです。

私は車で行ったのですが、RER(都市近郊鉄道)のメゾンラフィットの駅から送迎バスも頻繁に出ているようでしたので、のんびり緑に囲まれて競馬を楽しみたい人にはお勧めです。今の時期は馬も毛艶も冴えて本当に綺麗で、ギャロップで芝生をかけていく姿をみるのは本当に気持ちがいいですね。

Maison_laffite_012 スタンドの中はこんな感じ。馬券が落ちているのと、それを拾って確認している地面師がいるのも日本と同じです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年7月 2日 (日)

フランス勝利と連帯税

フランス強いですね。とても1次リーグでスイスや韓国に苦戦していたのと同じチームをは思えません。ジダンやアンリに注目が集ってますが、リベリのキープ力も凄いですね。

フランスが勝つと街中は大騒ぎになります。ゴールが入った瞬間やゲームが終わった瞬間は、各アパートから歓声、というより、野獣の咆哮ともいうべき声があがり、街ゆく車はいっせいにクラクションを鳴らしと、一晩中こんな喧騒が続きます。

さて、昨日はシラク大統領も試合を観戦していましたが、昨日7月1日は、同大統領が提唱している「航空券に課す連帯税」が施行された日でもありました。これは、航空券1枚あたりエコノミークラスで1ユーロ、ビジネスクラスで10ユーロの税金を徴収し、これを開発援助の原資とするものです(具体的には、駐日フランス大使館のこちらのページにあるプレスリリース参照のこと)。

シラク大統領はこの連帯税を各国にも導入するよう働きかけており、今回フランスはそれを自ら率先して実施したことになります。目の前のブラジル戦の勝利と連帯税の施行とで、昨日は大統領にとって大変よい一日だったのではないでしょうか。

| | コメント (2) | トラックバック (0)