経済・政治・国際

2015年12月13日 (日)

インド新幹線は採算がとれるか

本日の朝日新聞での記述。

今回の路線は沿線に人口100万人を超える巨大都市が並び、「世界でも数少ない好条件」(国土交通省幹部)とされる。日印共同の事業調査は、ムンバイ‐アーメダバード間の新幹線の運賃を2300ルピー(約4200円)と想定し、「採算性がある」とした。だが、インドで鉄道は「安価な庶民の足」というイメージが強く、現在は同区間を最安200ルピー(約360円)ほどで乗車できる。

これまでの鉄道と新幹線は別物でしょう。

東海道新幹線が開通した1964年の日本の一人当たり国民所得はわずか30万5千円でした。当時の東京‐新大阪間の運賃は2等が2,480円、1等が5,030円でした。

他方、現在のインドでは、人口が多いため一人当たりGDPは1600ドル程度(20万円弱)ですが、2020年ごろには年間所得が1万5千ドル(約180万円)を超える上位中間層、富裕層が3.5億人(!)を超えるとされています。

これらの層ではデリー‐ムンバイ間の料金4,200円は十分支出可能なはずです。

感覚的にも「3丁目の夕日」の時代の日本でも新幹線には大勢人が乗ったのですから、インドでも同様に大勢の人がのるでしょう。

記事では格安航空会社との競争も記載されており、確かにこれは脅威ではありますが、鉄道と飛行機では輸送力も大きく違いますので、日本の新幹線同様、インド新幹線も国を支える基幹インフラとして機能するものと思います。

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2014年7月29日 (火)

SONA

今日はラマダン明け休暇で祝日でした。

イスラム教国だとラマダン明け休暇はもっと長いのですが、フィリピンでは公的な祝日は1日だけです。

さて、昨日は大統領の施政方針演説がありました。SONA(State of Nation Address)といい、1時間半から2時間にわたって、大統領が議会で政策方針を述べるものです。

アキノ政権は2011年から2016年までの6年間。フィリピンは、再選が禁止されているので、1期6年でお終いです。今年は2014年で今年、SONAをやると残すはあと1回です。

昨年も思ったのですが、残りがあと2年を切ると、新しい政策が打ち出しにくくなるのでしょうか、演説の内容が、今後の方針よりも、これまでの成果を強調する内容になっているような気がします。

国民に対する説明責任という意味ではわかりやすく、成果でもって示すのは政治の正しいあり方だと思います。他方、やはり将来の政策や今後の新しいインフラ投資の見通しについて、自分の任期以降のことはコミットできないのかもしれませんが、民間企業や海外の投資家については知りたいのではないかと思いました。

あとは、今年の特徴としては

  • 災害復旧・復興(昨年はボホール地震と台風30号があったので)
  • ミンダナオ和平(3月に和平合意がなされたので、今後のステップを順調に進めていくことが大事)
  • フィリピン軍の装備の充実(その背景は触れていませんが、西フィリピン海の最近の情勢を念頭においてのものと思われます)

といったことに触れていることでしょうか。

マクロ経済が好調で、歳入も増えているので政策を遂行する余地も増えているところ、このまま順調に経済発展して、貧困率も下がるとよいのですが。

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2013年12月30日 (月)

一時帰国

年末年始を日本で過ごすために一時帰国しました。

成田空港から家に帰るまでのリムジンバスから見る風景。普段と変わらないはずなのですが、フィリピンで地震や台風被害を目の当たりにしてから、目につくものが随分と変わりました。

高速道路を走っていると、平行して走っている道路の橋げたの耐震補強のあとや、落橋防止装置がどの橋にもしっかりとついている様子や、しっかりと整備された河川の護岸、羽田空港の近くでは海上保安庁の飛行機格納庫等々。

同じ道をこれまでずっと通っていたのですが、いずれもこれまで気に留めなかったものでした。

こうやって、気が付かないところで防災や減殺のための努力と工夫が絶えず行われているんだなと、国土交通省や海保、施工をしているゼネコンのみなさんの仕事振りに感謝しなければいけないと思いました。

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2013年1月 8日 (火)

引き継ぎ書

前副総理が引き継ぎ書 をご自身のブログで公開されています。

みなさんはこれをご覧になられてどのような感想をもたれるのでしょうか。

内容をみて、副総理は非常に真面目な方だという印象をもちました。と、同時に、この内容が日本のNo.2が引き継ぐ内容なのかな、とも思いました。

公務員の新規採用の抑制や給与削減など、ほとんどが何かを削るという内容です。正直、何かを削ったりするのって頭を使わないのですよね(で、その割になんだかエラそう…)。

リストラとは本来は首を切ったり経費を削ったりするだけではなく、少ない経費でいかに提供するサービスや財の質を上げるかのほうが重要なわけですが、そちらの課題はほとんどありません。これでは、一企業の経理課長か給与課長の引き継ぎ書です。

副総理の引き継ぎ書にJRAの給与の話が出てくるのには違和感を感じます。JRAの経費には一般会計は投入されていません。私だったら、給与のことをとやかく言う前に、売上をあげて国庫に貢献してくださいというところですが。

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2012年5月 9日 (水)

モロッコ向け円借款の意義

BLOGOSの山口巌氏の記事にこんなのがありました。

108億円もの手土産を携えて訪問すれば、それは国王も会ってくれるだろうし、国を挙げての歓待もあったかも知れない。

モロッコ政府観光庁のホームページが示す通り、この国は観光資源に恵まれており、ヨーロッパの人達にも昔から人気がある。

玄葉外務大臣も、大いにモロッコでのゴールデンウイークを楽しまれた事であろう。

それにしても、債務問題に呻吟する日本が、何故北西アフリカに位置するモロッコに108億円もの巨額の円借款を供与せねばならないのか?

円借款と言うからには金利はゼロでは無い筈である。一方、モロッコの様なイスラム国家では金利は認めておらず、結局、金利分は「債務救済援助」でプレゼントしますよ、の如き裏約束があるのだろうか?

外務省は未来永劫、かかる「サンタクロース外交」を継続する積りなのか?

モロッコの旧宗主国はフランスであり、モロッコの富を強奪した経緯がある。しからば、過去の罪滅ぼしも含め、面倒を見るのは本来フランスではないのか?

野田首相は「消費税増税」に随分熱心で、「不退転の決意で」、「職を賭して」取り組むとの決意表明が大好きである。国民の痛みには冷徹に対応されているが、外務省に対しては甘過ぎるのではないか?
外務省がモロッコに108億円の円借款供与、「クールジャパン」戦略などの司令塔として「広報文化外交戦略課」(仮称)を創設するとか

氏は、記事の中で引用されているNHKの報道に接した感想だけで書いておられるようですが、外務省のHPにアップされているプレスリリースを見ると単なるサンタクロース外交ではないようです。

モロッコでは大規模太陽エネルギー発電所の建設が予定されていますが、当然、シャープや京セラといった日本の太陽光パネルメーカーも受注に関心を持っていると聞いています。プレスリリースのなかでも玄葉大臣が国王にそれをアピールしています。

また、プレスリリースのなかにはありませんが、同じく外務省の国別援助情報のモロッコのページでは、同国がリン鉱石の産出国であることが記載されています。

化学肥料を作るうえで重要なリンは、産出国の第一位は中国ですが、第二位はモロッコで、資源国として重要な地位を占めています。そのリン鉱石からリンを運ぶ機関車は日本製機関車が活躍していたりして、実は日本にとって縁浅からぬ国です。

最近では、タンジェ地域に輸出特区が設けられ、一時期日産が工場の建設を検討していたほか、すでに進出している日系企業もあり、対岸のヨーロッパへの輸出基地として有望視されています。

そうしたなかで財政負担の比較的少ない円借款を活用しつつ、水資源が貴重なモロッコの最優先課題である下水道整備を支援するというのは、決して単なるばらまきではない、戦略的な支援である、というのが私の考えです。

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2012年4月26日 (木)

お手盛り

身を切る改革とはこれいかに。

花咲議員のブログにこのような記事がありました。

昨夜から報道されていますが、旧高輪議員宿舎を、東京都に売却することになりました。

まだ、確定していないようですが、台帳価格は64.6億円で、100億円程度で売却できるのではないかとのことです。(中略)

立法府の資産であり、身を切る改革の一つが実現できました。

赤坂に新しい議員宿舎があるのですから、これは不要資産でしょう。もう使わなくなった資産を売却することが「身を切る改革」なのですか。

「身を切る」ということで国家公務員の給与を特例法によって平均7.8%減額したり、宿舎の見直しを進めるというのは身を切っている感じがしますが、新しい宿舎を作ってもはや誰も住んでいない古い宿舎を売るのでは、いったいどこが「身を切って」いるのでしょうか。

身内の議員秘書は特例法の対象外にしたり、国家公務員には宿舎の利用料を宿舎の投資コストにみあった水準に引き上げるべきと指示しながら、もともと民間相場からすれば格安の赤坂の議員宿舎の利用料をさらに引き下げたり、あまりにもあからさまな「お手盛り」のおかしさにご自身たちがお気づきにならないのが、とても不思議です。

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2011年12月 7日 (水)

危機の指導者 チャーチル

現役の外交官が著した『危機の指導者チャーチル』(冨田浩司著、新潮選書)を読みました。

元々チャーチルは、かつて読んだ本の中にあった「暗闇が一番深いときが最も暁に近い」という言葉が好きで(仕事が辛いときに何度この言葉を反芻したことか)、以前、チャーチル家の邸宅を訪ねたこともありました。

この本は、フォーサイトで勧められていたので読んだのですが、読みやすく、また青年時代や第一次世界大戦の頃のチャーチルの姿も描かれていて確かに読む価値がありました。ところどころに出てくるチャーチルの著書からの引用や演説にも勇気づけられるものが多いです。

個人的に特に印象に残ったのは、最終章「指導者とは」にある著者による次の一節。

それだけに英国において権力の座に上り詰め、そこに留まるためには厳しい試練が待ち受けている。党内に信望を築き、的確な行政手腕を示し、成熟した世論の精査に堪え、議会での論戦に勝ち抜き、選挙に勝利するー指導者の地位は、これらのことをすべて成し遂げた者だけに約束される。

これを読んで、どこかの国に引きつけて考えてみると、傍目には、党内はばらばら、行政手腕は官僚を信頼せずに停滞、世論には迎合し、議会では論戦を避けて重要法案が通っていなくても会期延長をしない、そういう風に見えます。

政治家にはもっと頑張って頂き、政治という本来業務をしっかりと行って頂きたいと改めて思いました。

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2011年11月23日 (水)

公務員給与は高止まり?

11月22日付の朝日新聞「声」欄に「民間人は納得せず 人事院勧告」という投書が載っていました。

国民として実感のないままいつの間にか膨れ上がった1千兆円もの借金。一体、だれが、どんな形でこのツケを払っていくのだろうか。(中略)

公務員の現行の給与水準は、バブル期に民間企業の給与を参考に引き上げられた経緯がある。その後、環境が変化しても、従来のやり方を踏襲してきたため、高止まり現象を起こしている。それが今回の財政圧迫の要因の一つでもある。

1.まず後段について。

人事院のHPをみればわかりますが、人事院勧告は、バブル期も今も、民間企業の給与を参考に行われています。ですので、民間企業の給与水準が下がれば、それに応じて人事院勧告もマイナスの勧告をします。賞与の支給月も同様です。

人事院では、事業所規模が50人以上の事業所47,484か所から10,497事業所を無作為抽出して、その給与実態を調べ、それと同等の水準になるように勧告を出しています。

たとえば平成22年であれば、民間の月例給が394,874円に対して国家公務員が395,666円と792円国家公務員の方が高くなっているので、その分をマイナスしましょう、と勧告がなされるという仕組みになっています。

なので、「民間と同じならいいのか」とか、「事業所規模50人以上のところしか選ばないのはおかしい」という議論はあるかもしれませんが、少なくとも、バブル期に民間企業を参考に引き上げ、そのまま高止まりしている、という指摘はあたらないのではないかと。

2.私としては、人事院勧告の仕組みよりも、「国民として実感のないままいつの間にか膨れ上がった1千兆円もの借金」というくだりに問題の根っこがあるように思います。

そもそも予算というのは、国民が選出した議員によって審議・承認されるものですし、予算の政府案も、議会制民主主義のもとでは第一党による内閣が作ったものです。

感覚としては政治家と官僚が勝手にやったこと、という印象を持つのかもしれませんが、もとをたどっていくと、こうした予算を承認してきた国会議員を選出してきた我々自身にも責任があります。我々自身が選んだ政府による、我々の予算として考えないと。

ちなみに一般会計約92兆円のうち、国家公務員の人件費は約5兆円で、全体の5.4%程度です。国家公務員の処遇を下げれば財政赤字削減には貢献しますが、焼け石に水の効果しかありません。

コスト削減は当然として、マスコミや政治家には給与水準や公務員宿舎といった公共部門バッシングを越えた、もう少し大きな議論をしていただく必要があるかと思います。

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2011年11月19日 (土)

独法制度改革

行政刷新会議の分科会資料として独立行政法人の制度改革に関する資料が公開されています。

この資料を読んでいてまずわからないのが、改革をするのであれば、今の独立行政法人の制度が改善の余地があるからだと思うのですが、現行制度の評価に関する記述はほとんどありません。

現行制度の問題点がわからないため、この資料で挙げられている案についてもそれが妥当なのかどうかわかりません。

資料を読むと、主務大臣のコントロールの強化、単年度の財政措置、国際関係法人については海外事務所のワンストップサービス化、財政民主主義の透徹、国家公務員並みの給与水準の達成といったことが述べられています。

これを読んだ私の感想は、

「じゃあ、独立行政法人制度をやめて、全部国に戻してやればいいんじゃないですか」。

そうすれば主務大臣直轄になりますし、予算は単年度で国会で審議、各法人の海外事務所は大使館に集約、給与水準も当然国家公務員の水準になりますよね。

もともと独立行政法人を作ったのは、国とは別組織に実施させたほうが効率的・効果的だから、という趣旨だったはずですが。

民間企業でも業務が多様化すれば、一人の社長が全部みるのではなく、事業部制にしたり分社化したりするわけですが、同様に主務大臣(あるいは主務省)は全知全能の神ではないので、独立行政法人が担う業務をひとつひとつチェックし、コントロールすることは現実的ではありません。主務大臣監督権限を強化すれば独立行政法人もよくなるのかといえば、そういう単純な話ではないような気がします。

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2011年5月 4日 (水)

人はなぜテロリストになるのか

Photo 国際テロ組織「アルカイダ」の首謀者、オサマ・ビン・ラディン容疑者が米軍により殺害されました。

これによって各地のテロがすぐに無くなるものではないでしょうが(「これで安堵した」とインタビューに答える米市民の心情はわからなくもありませんが、お気楽な印象は否めません)、他方、今年に入ってからの「アラブの春」の影響を受けてテロに傾倒していく層というのは、減少していくように思われます。

「テロの経済学 人はなぜテロリストになるのか」(アラン・B・クルーガー著、藪下史郎訳、東洋経済新報社、2000円)という本があります。

この本の主張は、テロは貧困が生む、とよく言われるけれども、実証データはそうした通説を裏付けていない、というものです。

実証データから明らかになったテロに関する事実とは、以下の通りです(本書の内表紙より)。

  1. テロリストは十分教育を受けており、裕福な家庭の出である傾向がある。
  2. 社会で最高の教育を受けている人や高所得の職業についている人の方が社会的に最も恵まれない人たちよりも過激な意見を持ち、かつテロリズムを支持する傾向がある。
  3. 国際テロリストは、貧しい国よりも中所得国の出身である傾向が強い。
  4. 市民的自由と政治的権利が抑圧されているとテロに走りやすい。

その上で、本書では「テロは、犯罪行動よりもむしろ投票行動に似ている。」としています。

今年に入りチュニジアのジャスミン革命から各国に飛び火したアラブ世界の民主化の動きにより、上記の4.にある「市民的自由と政治的権利が抑圧されている」状況に変化が見られます。

政治的に声をあげたければ、Facebookを使ったり、街頭でデモを行ったり、独裁政権が倒れたチュニジアやエジプトでは投票によって自分の政治的意思がテロ以外の方法で表明できるようになったのです。

中東地域の民主化プロセスはまだ途上ですが、この民主化プロセスがうまく軌道に乗るのか、人々の「権利をはく奪されている」という意識を変えるものになりえるかどうか、そしてそれがテロといった過激な行動を抑制するかどうかについて、注目したいと思います。

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